■「百条委員会での真相解明が亡くなった職員の願い」
だが、「今さら維新の会が不信任決議案を提出するなんて、虫がよすぎるのでは?」という声も内部から上がっているという。
百条委員会の委員で、無所属の兵庫県議会議員の丸尾まきさんは、こう明かす。
「そもそも維新の会は、当初、百条委員会の設置自体を拒んでいました。百条委員会の設置が決まってからも、私が独自に行った県職員アンケートの調査結果を(百条委員会に)提出するのを拒み、元・西播磨県民局長が遺した文書の提出すらも拒んでいました。
さすがに、さまざまな批判を受けて、そういう動きをするのは得策ではないと思ったのか、最近はあまり反対しなくなりましたが……。これまで維新の会が斎藤県知事を擁護してきたことはまちがいありません。
にもかかわらず、形勢が悪くなったからといって急に不信任だとか言うのは、政局利用だと勘ぐられても仕方ないのでは」
維新による“真相解明つぶし”は、上記だけではない。
これまでの報道によると、告発文の内容とはまったく関係のないYさんの私的な文書まで、百条委員会で全面公開するよう迫っていたのも維新の会の県議だという。Yさんは、これを苦にして自死したとも伝えられているのだ。
前出の丸尾議員は、こう主張する。
「もちろん、9月からの議会で不信任決議案について議論することは重要です。ただ、順序としては、まず百条委員会で真相究明を行うことが先決だと思います。なぜなら『百条委員会で真相究明してほしい』というのは亡くなれられたYさんの遺言だからです。勇気を出してアンケートに答えてくれた県職員の思いにも背くことにもなります」
不信任決議案が提出され、対抗措置として斎藤県知事が議会を解散した場合、百条委員会はストップすることになる。そうなれば真相究明が遠のく可能性もあるという。つまり、コトをうやむやにしたい側の思うつぼ、というわけだ。
「なによりも危惧するのは、解散することで世論やマスコミの関心が薄れてしまうことです。これだけさまざまな疑惑が明るみに出たとのは、まちがいなく百条委員会の成果ですが、いったん解散して再始動しても、トーンダウンしてしまう可能性が大きい。
みんなが力を合わせて開催にこぎ着けたこの百条委員会で真相究明しなければ、今後の県政も正常化できません」
命がけで真相究明と県政の正常化を求めたYさんのためにも、維新の会の“政局”に利用されることなく真相解明を進めてほしいものだ。