「国債の金利が上昇しています」
そう話すのはファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。
そもそも国債とは、国が資金を調達するために発行する債券を指す。つまり、国債を買うとは、国にお金を貸すということだ。
債券には社債などさまざまあるが、国債は国が相手なので安全性が高い。日本が破綻しない限り、満期まで保有すれば元本割れの危険性はないと言えるのだ。
「国債を買うと半年ごとに利子を受け取り、満期が来たら元本が返還されます。借金の利子を定期的に受け取り、返済期日に貸したお金を返してもらうのと同じです」(高山さん、以下同)
もっとも一般的なのは「個人向け国債」だ。1万円から1万円単位で購入でき、ゆうちょ銀行など身近な金融機関で扱われているので、買いやすい。
注意したいのは、個人向け国債の発行から1年間は原則中途換金できないことだ。だが、1年経過すると、中途換金しても直前2回の利子の一部が差し引かれるだけで、元本割れのリスクはない。これが最大のメリットで、資産を安全に運用したい人にぴったりだ。
「個人向け国債は3種類あります。2025年3月募集の金利は、利子が半年ごとに見直される変動10年が0.92%、固定金利タイプの5年が1.03%、3年0.87%。
たとえば固定5年は2022年11月販売分まで最低金利の0.05%でしたがいまは1%を超え、およそ20倍に上昇しています」
個人が買える国債には、個人向け国債のほか、新型窓口販売方式の「新窓販国債」もある。購入は5万円から5万円単位だ。購入できる金融機関がやや限定的なためか、認知度が低い。
「新窓販国債も半年ごとに利子を受け取り、満期が来たら元本割れなく返還されます。さらに中途でいつでも売却できる点が特徴です。ただ売却は市場価格での取引となるため、市場価格が下がっていれば元本割れのリスクが生じます」
新窓販国債は3種類で、すべて固定金利タイプ。3月募集の金利は国債10年が1.2%、国債5年が1.1%、国債2年が0.86%で、個人向け国債よりやや高い。中途解約しないなら、新窓販国債を選ぶ手もあるだろう。
国債はどう選べばいいのか。目的別の選び方を教えてもらおう。
【1】「国債金利は今後も上がる」と予想するAさんは、手間をかけず安全に老後資金を増やしたい。
「個人向け国債の変動10年がおすすめです。半年ごとに見直される金利は上がることも下がることもありますが、Aさんの予想どおりに上がれば、受け取る利子が増え老後資産も増えるでしょう。元本割れのない安全性と金利上昇、両方のメリットが得られます」