■54歳以上はワクチン空白世代
いっぽう、ワクチン接種には世代によって空白時期も生じている。’00年4月2日以降に生まれた人は2回接種をしている可能性が高いが、反対に’72年9月30日以前に生まれた人は、1回もワクチン接種をしていない可能性が高い。
非接種世代は、ほとんどは幼いころにはしかに感染して抗体を持っていると思われるが、3月に入ってからも、都内や横浜市内で50代の感染者が見つかっている。
「感染歴やワクチン接種歴がない人は注意が必要です。はしかのウイルスにさらされると、ほぼ100%の確率で感染し、発病します」
それほどウイルスの感染力は強い。インフルエンザは1人の感染者から1?2人に感染するが、はしかは1人から12?18人に感染。インフルエンザに比べじつに10倍も強力なのだ。
空気感染するため、換気の状態が悪ければ、電車の同じ車両や同じ部屋に感染者といるだけで、即感染するリスクが高まる。
「感染した場合、潜伏期間は10日ほど。初期段階では、普通の風邪症状です。この時期は、花粉症と勘違いしてしまう人も多いでしょう」
■風邪や花粉症と似た症状で、初期症状は気付きにくい
2~4日ほどは38度前後の熱が出たり、せき、くしゃみ、鼻水、目の充血、目やになどの症状が出るという。
「感染力が強いのは、初期段階ですが、この時点ではしかと気づくことは困難です」
特徴的なのは、熱が一度ひいたあと、再び発熱すること。
「コプリック斑(のどにできる白いぶつぶつ)や、体に広がる赤い発疹ができます」
インフルエンザに対するタミフル、新型コロナウイルスに対するパキロビッドのような治療薬は存在しないため、高熱が出ればカロナールなどの解熱剤に頼るなど、対症療法となる。
発疹などの症状は1週間から10日ほどで治まるが、注意したいのは、30%の確率で生じる合併症。
■死にいたる恐ろしい合併症も……
「代表的な合併症は肺炎。またまれではありますが、脳炎を引き起こすことがあります。脳がダメージを受け、意識障害や言語障害、錯乱などの症状があらわれたりします。一過性で終わることもあれば、程度によっては、将来的にてんかんが残ったり、最悪の場合は死亡することもあります」
さらに患者10万人に1人の割合で発症するといわれているのが、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)。
「SSPEは、はしかに感染したあと、10年ほど経過して発症します。発症後は知能障害や運動障害が進行し、半年から9カ月で死に至ります」
決してあなどれないはしかに有効なのはやはり、ワクチン接種だ。
「ただし、ワクチンは数に限りがあるので、子供が優先されるべきでしょう。大人で感染歴、接種歴が不明な場合は、まずは抗体検査を受けることが選択肢といえます。自費診療になりますが、5千円ほどで受けられます」
大切な家族を守るためにも、今一度、抗体の有無を調べておく必要はありそうだ。
画像ページ >【図解あり】はしか感染力の比較・ワクチン接種状況・はしかワクチン1回摂取状況(他3枚)
