「竹島は歴史的にも、国際法上も日本の領土であることは疑いはない」「韓国は力を持って不法占拠を開始した」。そして尖閣諸島についても、「解決すべき領有権の問題は存在しない」――。

8月24日、野田首相は臨時の記者会見で、一連の領土問題について、主権国家たる日本の立場を明確に表明した。しかし日中、日韓の間には、まだまだ火種となる問題が各地でくすぶっているとの指摘も。東アジアの軍事事情に詳しい、軍事フォト・ジャーナリストの柿谷哲也さんが語る。

「中国、韓国は、尖閣諸島や竹島だけでなく、すでにわが国の領土、領海を脅かしています。その1つが、日本の最南端に位置する太平洋上の小さな無人島・沖ノ鳥島を巡る問題です。今年6月、国連の大陸棚限界委員会が、沖ノ鳥島を『島』と認定しました。ところが、中国と韓国が猛反発。沖ノ鳥島は『岩』だと主張して委員会の決定を認めようとはしていません」

国連海洋法条約によると、海岸線から200カイリ(約370キロ)までの海域を排他的経済水域(経済的な主権が及ぶ水域)と定め、その沿岸国が海域の漁業権や、海底のエネルギー資源を独占的に探査・開発ができる。しかし、沖ノ鳥島が『島』ではなく『岩』となれば、排他的経済水域や大陸棚を定めることができない。同条約によると、『岩』の場合は領海12カイリ(約22キロ)までしか設定できないそうだ。さらに、中国や韓国が、魔の手を伸ばす離島はほかにもある。

「鹿児島県にある馬毛島(まげしま)です。数年前に、中国資本がこの島を買収しようとしているという噂を聞きました」と政府関係者は語る。前出の柿谷さんも、「本当に買収しようとしていたならすごいこと。在日米軍と防衛省への嫌がらせ以外の何ものでもありませんから」と話していた。

土地自体は誰が買おうが、日本の国土であることは変わらないという。ただし、尖閣諸島だけは乗っ取られる危険性があると、日本の海洋問題に詳しい、東海大学海洋学部教授の山田吉彦さんは言う。

「もし、中国に尖閣諸島を乗っ取られたら、日本は東シナ海のすべてを失います。日本の近海の安全や水質を守ることは、日本中の海を守ることになる。それができなくなってしまうのです。占領後、中国海軍は沖縄近くまで来るでしょう。そうなれば、沖縄の方々にとっては脅威です。沖縄は在日米軍と中国軍の狭間で大きく揺れることになります」

山田さんは、尖閣諸島を乗っ取られた場合、日本の防衛費は最低でも1兆円は増えることになるだろうと予想している。さらに先月、中国軍の高官が“日本は沖縄から退くべき”だとラジオで発言していた。中国が尖閣の次に狙うのは沖縄!?

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