とと姉ちゃんの8週(5月23日〜5月28日)は、練り歯磨き粉の商売が失敗に終わった常子(高畑充希)が、職業婦人を目指す。家計を支えるため、鞠子(相楽樹)の夢を叶えるため、タイピストになるための猛特訓が始まる……。

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叔父の鉄郎(向井理)の借金を肩代わりするため、二束三文の値段で練り歯磨きを作る約束をした常子。星野(坂口健太郎)の助言から、絵の具を入れるアルミ製のチューブに歯磨きを入れることを思いつく。借金取りには従来の紙包みの歯磨きを渡し、自分たちは、チューブ製の改良品を売って稼ごうというのだ。一週間後、森田屋を訪れた借金取りたちに、紙包みの歯磨き粉を渡す常子たち。まんまと目論見は成功したかに思えたが、常子たちの不自然な様子から、チューブ入りの歯磨き粉が男たちに見つかってしまう。常子が自分たちを出し抜こうとしていたことを知り、チューブ入りの歯磨き粉を毎週受け取りに来ると言って脅すのだった。

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たちまちピンチに陥る常子たち。すると、そこへ祖母・滝子(大地真央)が隈井(片岡鶴太郎)や屈強な青柳の男たちを連れて現れる。滝子は、悠然と歩み寄り、「これ以上暴れるなら、あたしらが黙っちゃいないよ!」と啖呵を切る。取り立て屋は滝子に凄んで見せるのだったが、滝子は物ともせず、「深川と喧嘩する覚悟があるなら、受けて立つよ!」と一喝。男たちはすっかり縮み上がり、尻尾を巻いて逃げ出す。滝子のおかげでピンチを脱した常子。だが、突然、チューブ入りの歯磨き粉が爆発し始める。駆けつけた星野(坂口健太郎)いわく、常子たちの歯磨き粉は、アルミ製のチューブを使ったため、歯磨き粉がアルミと反応し、気体が発生したという。事業そのものは失敗してしまうが、常子は、歯磨き粉作りを通して、「人のためになるものを作り、売る」ことの大切さを学ぶのだった。

 

一方、鞠子(相楽樹)は、母・君子(木村多江)に大学へ進学したいと告白する。君子は経済的な理由から反対するが、鞠子は、「大学で文学を勉強し、平塚らいてうのように、女性の生き方を後押しできるような文章を書きたい

と訴える。常子は、初めてやりたいことを見つけたという鞠子に共感。「私からもお願いします。鞠ちゃんの夢を叶えさせてあげてください」と懇願する。君子は、常子が職を見つけることを条件に、鞠子の大学進学を認める。鞠子のために少しでも給金の高い仕事につきたいと考える常子。教師の東堂(片桐はいり)に相談すると、東堂は、「職業婦人」を目指すべきだと諭し、ちょうど推薦枠が空いたことを話すのだった。その職業は、当時の女性にとっては花形の職である「タイピスト」。しかし、その技術を短期間で習得するのは、並大抵の努力では無理だという。「覚悟はおあり?」と東堂。和文タイプライターの前に常子を連れて行く。タイプの鍵盤は、ひらがな、カタカナ、漢字など全部で2273字。そこから一文字ずつを選ぶ仕組みで、文字の配列を暗記しなければならない。常子は、どこでも練習できるように、と2273文字を紙に書き写す。試験まで半年、紙を見ながらひとつひとつ指差して覚える特訓が続けた。

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特訓で寝不足が続く常子。学校は、卒業を前に学生たちの結婚の話で持ち切りだ。職業婦人を目指す常子は、他人事にしか感じない。ところが、綾(阿部純子)が突然、結婚が決まったと告白。聞いてないと口を尖らす常子に、「だって、言ってないもの」と綾は平然と言う。親が決めた結婚相手は、医大生。綾は、いつもになく不安そうに「顔も知らない人に、自分の人生を委ねるってことでしょう?」と言葉を詰まらせる。

 

ある日、常子は、星野(坂口健太郎)の家に森田屋の弁当を届ける。タイプライターの練習は順調だが、今まで長い時間特訓してきたほかの受験者に勝てる自信がないと星野に打ち明ける。植物の研究という目標を持つ星野が羨ましいと弱音を吐く常子。すると、星野は、兵隊に行った弟に代わり、就職して親を支えるべきか悩んでいると告白する。さらに、常子の話を聞いて、「翌檜」(あすなろ)の話を続ける。「明日は檜になろう」と願っているのになれない木で、翌日の「翌」に「檜」と書いて翌檜になったという説があるという。常子が「何だか可哀想」と感傷的になると、星野は「そんなことはないです。翌檜は翌檜で立派な樹木で、僕も大好きです。常子さんも他の人と比べて自分を卑下する必要はありません」と励ました。元気を取り戻した常子は、やれる限りの努力をすることを決意。就職試験当日を迎える。

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面接で張り切る常子。手先が器用で、技術を身につけたことなど、タイピストを志望する動機を列挙し、「一番の理由は、高級取りになりたかったからです!」と主張するのだが、面接官の山岸(田口浩正)たちの失笑を買う。さらに、学生時代の活動について問われ、歯磨き粉の事業について話す常子に、呆れぎみの面接官たち。しかも、肝心のタイプの実技試験は、今年から中止になったという。実技試験で挽回しようとしていた常子は、驚き、落胆。手応えを全く感じぬまま試験は終わる。森田屋に帰った常子は、面接で笑われたこと、実技試験がなかったことを報告する。君子や森田屋の人々は、「やるだけのことはやった」と常子を励ますが、常子は、鞠子の大学進学という夢を叶えられないと落ち込む。それから二週間が過ぎても、会社から連絡がない。元気のない常子に「いつまで暗い顔をしているつもり?」と鞠子と美子(根岸姫奈)。美子は、姉たちのお古の筆入れを使っているのを見た滝子が、自分のために端切れで綺麗な飾りを作ってくれたと話し、喜んでいる。「そういうことをなさるお祖母様はとても素敵」と常子。そこへ駆け込んできた君子は、常子に「採用」と書かれた紙を出し出す。

 

昭和12年3月、常子が女学校を卒業する日がやってくる。感傷に浸る常子の隣に立つ綾は、「涙を見せずにお別れしましょう」と笑う。常子は、綾との思い出を振り返る。再試験のとき綾に勉強を教えてもらったこと、綾に男性の好みを聞かれたこと……。2人は、東堂のもとへ行き、これまでの感謝の意を伝える。「女としての生き方を意識することができた」と礼を言う綾。常子は、東堂が手に持つ本のカバーに目が止まる。東堂は、百貨店の包装紙を工夫して本のカバーにしていて「これが私のささやかな心がけ」だと話す。常子は、滝子が美子に作ってくれた飾りのことを思い出すと、目を輝かせこう宣言する。「私もそんなふうに、ささやかな心がけを大事にして、小さな幸せを見出せるようになりたいです!」。大切なことを気づかせてくれた恩師に感謝し、さらに、父、竹蔵(西島秀俊)が、なにげない暮らしのなかの一瞬一瞬を大事にする人だったことを思い出すのだった。

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森田屋では、常子の卒業と就職、そして、常子ら三姉妹の誕生日を祝う宴会の準備が行われていた。招待されてやってきた滝子は、まつ(秋野暢子)が長谷川(浜野謙太)に買って来させた鯛を見て、「まあ、金魚みたいな鯛でございますね」と言い、隈井に命じて、自分が持ってきた立派な鯛を見せる。思わず息を呑むまつと宗吉(ピエール瀧)。相変わらず、仲がいいのか、悪いのかわからない2人……。宴会の食卓には、大小2つのお頭付きの鯛が並べられる。綾子と星野も招待された宴会は、滝子の三味線で隈井と清(大野拓朗)が踊り、森田屋の人々の楽しい演芸などが披露され、賑やかに進む。そして、最後のお皿だと言って運ばれてきたのは、君子が作ったおはぎ。常子たち三姉妹は、頭を下げて礼を言う。そして、常子はみんなに伝えたいことがあると言い、ひとりひとりにこれまでの感謝の気持ちを語り出す。君子には、今まで育てくれた礼を言い、「これからは自分が稼いで、必ず、かかに楽してもらいます」と常子。森田屋の人々には、青柳家を出た常子たちを支えてくれたことを語り、「いつか必ず恩返しします」と笑顔で宣言する。綾と星野には、困ったときにいつも助けてくれてありがとう、と。そして最後、青柳の3人に向き直ると、「女学校に行かせてくださってありがとうございます」と礼を言う。会うことはないと思っていた孫たちに会えてことを「私はなんて幸福なんだ」としみじみ語る滝子に、「私もお祖母様の孫で幸せです」と常子。「みなさんにお礼が言えてすっきりしました」と目を潤ませる。

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『とと姉ちゃん』の9週(5月30日〜6月4日)は、タイピストとして、とある文具会社に就職した常子(高畑充希)。そこで常子は早乙女(真野恵里菜)を中心とする女性社員たちにいわれなき嫌がらせを受け、一向に仕事を回してもらえない。ある時、男性社員から膨大な書類の整理を一任されることになる。冷ややかに見つめる同僚を横目に、取引先ごとに整理をし始める常子。あとはタイプライターで清書するだけという段階まで来たところで、早乙女からタイプの使用を禁じられる。

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