生瀬勝久 映画単独初主演作は〝あの世〟の話!「人は後悔しないように生きるべき」

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不慮の死をとげたサラリーマンが、〝あの世〟で「伝説のスープ」の話を耳にする。一人娘に想いを伝えるため、サラリーマンはスープの秘密を探っていく――。
中年サラリーマンの奮闘を描いた映画で、主人公、渋谷健一を演じるのが生瀬勝久だ。
エキセントリックな役柄を演じることが多い生瀬が、口下手で不器用な中年男を好演している。

なませ・かつひさ★

60年10月13日生まれ、兵庫県出身。同志社大学在学中の83年に劇団に入り、出演のみらなず脚本や演出も手掛け、後に座長を務める。
01年の劇団退団後はドラマ、映画に多数、出演。7月7日(土)より放送『ゴーストママ捜査線~僕とママの不思議な100日』(日本テレビ系)に出演。

映画『スープ~生まれ変わりの物語~』

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7月7日(土)~、有楽町スバル座ほか全国ロードショー
監督・脚本/大塚祐吉 
出演:生瀬勝久 小西真奈美  松方弘樹
©2012「スープ」製作委員会  © 「生まれ変わりの村」森田健(河出書房新社)
(公式サイト)www.soup-movie.jp

 

――今回の映画では、現実の世界はシリアスに描かれていますが、あの世に行ってからの展開がどう着地するのか、楽しみで見ごたえがありました。生瀬さんが完成作をご覧になった感想は?
「好きな映画です。自分の出ている部分は、やはり照れくさいんですが、僕が出ない部分での、若者たちが非常に良かった。普通に実在するコたちのように思えました」

――たしかに、生瀬さん演じる渋谷の生まれ変わりを引き継いだ、野村周平君、いい味を出していました。
「かなり監督に絞られたようですよ。『僕の役を引き継ぐ野村くんです』って現場で紹介されて、『僕のしゃべり方や演技を、よく見てね』って言って。あとは、現場で共演することはなかったんですけど。監督から『違うだろ』って相当、しごかれたみたいです」

――その結晶があのシーン……。
「そう! 僕が好きなのはラスト近くのシーン。あそこは、本当にすばらしいと思いました」

――今回、生瀬さんは渋谷という中年男性を演じましたが、演じるにあたって、渋谷を分析されて演じましたか?
image「僕はもう、彼のことを考えると、じれったくてしょうがない。ああいう男にはなりたくない」

――「じれったい」とは、どういうところが?
「自分の意見がちゃんとあるのに、人に伝えない。思っていても言葉にしないと伝わらないですから。それを言わないで後悔したりするのは、違うなと思う。せっかくこの世に生まれて生きているのに、もうちょっと楽しんでいいんじゃないかと思うんですよ」

――ということは、渋谷と生瀬さんの共通点はあまりないですか?
「そうですね、かけ離れています。僕は楽天家。まず、その時点で違うでしょ? あと、ポジティブだし。いろんな楽しいことを知っています。趣味も多いし。たと
えば、野球を見るのも好きだし、旅行に行ったりゴルフや釣りに行ったり、もう、本当に、休みの日は忙しくなってしまいます。やりたいことがいっぱいあっ
て」

――そうなんですね!? 役を通してでしか生瀬さんを知ることができないので、ちょっと意外でした。
「僕に抱かれているイメージってどういうものなんですか? 逆に教えてもらえませんか?」

――役を通してなので、ですけど、気難しいようなイメージがあります。
「気難しい……かも。この前、電車に乗っていたら、携帯電話で普通に話している中年男性がいたんですよ。あれは悲しくなりましたねぇ」

――映画に話を戻しまして、小西真奈美さんや松方弘樹さんなど、豪華キャストが出演しています。小西さんとは何度か共演されていますよね。松方さんとは?
「初共演なんです。それで、初日にキスシーンを撮りましたから(笑)」

――あ、そうなんですね。松方さんの甚平姿もすごくよかったですよね。
「あれは、松方さんの自前なんです。なんでも、松方さんをイメージしてつくられたオリジナルの甚平なんだそうです。すごく似合ってらっしゃいましたね(笑)」

――今回、単独初出演ということですが、それについてのご感想をお聞かせください。
「なんともはや、あまり自分はそういうことに興味がない。だから今回、主演ということにもプレッシャーを感じませんでした。プレッシャーを感じるとしたら、台
本を読んで、イメージして、そこに自分の演技が近づかなかったときだけなんですよ。自分の演技に満足がいかなかったときだけ。でもたしかに、それ(映画単
独初主演)が、今回の映画でキャッチにはなるじゃないですか。だから取材でも同じことを聞かれるんですけどね。僕個人に関しては、好きな演技ができればそれだけでいい、これからも末長くできたら、それだけでいいです」

――作品を通じて、ご自身の死生観というものは変わりましたか?
image「僕にはすでに、僕なりの死生観というのがあるんです。20歳のとき、1カ月入院する交通事故で、死にかけているんですよ。『危ないっ!』ってブレーキをかけ
たところまでは覚えているんですけど、そのあとの記憶がまったくないんです。1秒前まで、事故に遭うなんてまったく思っていませんでした。その事故で
『死』というものが具体的につかめたんです。それで、人っていつ死ぬか分からない、それならどう生きたらいいかって思うようになった。そうしたら、もう明
るくなって。死んだら『無』であるという、それを覚悟していれば、どう生きるかっていうのが決まりますよね。」

――その事故をきっかけに、いろいろ考え方が変わった?
「そう。人は死ぬんだっていうのが、どういうことか、わかったから、後悔しないで生きるべきだし、ちょっと二の足を踏むんだったら、前に進んだほうがいい」

――ご自身が思う、この作品の見どころはどこにあると思いますか?
「ファンタジーですよ。ただし、けっこうリアリティのあるファンタジーだと思うんですよね、この作品は。“あの世”がきれいに美化されてない」

――では最後に、作品のPRをお願いします。
「フィクションなので気楽に見ていただいて、自分が悩んでいることは、そんなに大きなことではないって思っていただければ。すべては気持ちの持ちようだと思うので、それで元気を出していただければうれしいです」

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