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「僕、しゃべるのが上手じゃないんです。すみません」

 

取材が始まると寛一郎は、はにかむようにポツリと一言。祖父は故・三國連太郎、父は佐藤浩市という日本映画界を代表する俳優一家に生まれた寛一郎(21)。9月23日、出演映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が公開される。

 

「出演作が公開されるのは2作品目なので、いい意味でなじんできました。実はスクリーンに映る自分を見ることに抵抗があって。客観視しているつもりができなくて、自分の悪いところばかりが見えてしまう。でも今はそれでいいと思っています。そこから学びたいので」

 

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』では同世代の山田涼介、村上虹郎と共演。2人からはどんな刺激を受けたのだろうか。

 

「人見知りなのでなかなか話せなくて(笑)。兄貴肌の山田くんに甘えている部分もありましたが、お芝居のなかでは意思疎通ができたと思っています。僕の最低限の会話をカバーしてくれる2人には、本当に助けられましたね」

 

監督からは最初の指導以降、細かい指示がなかったそうで……。

 

「撮影中、これで大丈夫かなって心配になったりもしました。でも作品を見たらちゃんと作品の一部になれていたので、監督のやり方で、僕を演出してくれたんだと思います。もうちょっと仕事ができるようになれば、檄を飛ばしてくれるのかな」

 

もともとは目指していたわけではない俳優という仕事。俳優の大先輩である祖父と父が、その世界へ導いてくれたという。

 

「自分にとっていちばん身近な仕事でしたし、自分を見つめ直したときに家族の見方が変わり、徐々に俳優の道に進みました。祖父も父も、言葉で何かを教えてくれるということはなかったけれど、作品や背中で見せてくれて。父の作品もすべて見ています。好きな作品は……。ノーコメントでお願いします(笑)」

 

物語では、どんな悩みにも答えてくれる“ナミヤ雑貨店”。もし実在したら、頼ってしまう?

 

「あまり真面目な悩みは書かないかな。早く髪が伸びる方法を教えてください、ですかね(笑)」

 

人見知りと言いながらもまっすぐに思いを語り、無邪気に笑う。好青年ぶりに今後の活躍が楽しみになる。

 

「尊敬する方はたくさんいますが、目指している方はいないんです。今後は自分の色を出せるよう、映画を中心に多くの作品に出て学びたいです。何をもってそう呼べるのかも含め、“いい役者”というものを追い求めていきたいと思っています」

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