炎天下、照り返しも厳しい都心の住宅街。撮影のつかの間、手を握り合う2人。
緊張しながらも「元気に生まれてくるといいね」「笑顔、ちゃんとして(笑)」と仲むつまじくポーズを取っているのは、芸人のだいたひかるさん(46)とその夫、アートディレクターの小泉貴之さん(44)だ。
おなかの子は取材当時14週目。「前から出てたからかな? おなかはわかりにくいんです。腰についた肉のほうが気になるくらい」と、だいたさんはカメラマンに説明する。きゃしゃな体形ということもあり、はた目には妊婦だとわからない。予定日は来年の1月30日だ。
「そのとき僕は何歳だろう、今30だから……」
「今40代だよ!」
すかさず初代R-1王者のツッコミが入る。息がピタリと合っている芸人コンビのような夫婦だ。笑いが絶えない家庭を想像するが、結婚してから8年、現在に至るまで平たんな道のりではなかった。
今年の5月、体外受精で妊娠したことをブログで公開。だいたさんは45歳で、“超高齢出産”といわれる年齢になっていた。
「ここまで来るのに、手こずりまくりでした。今日はブログに書ききれなかったことも、お話ししますね」
はにかむようにほほ笑んで、小泉さんの手をまた握る。その瞳にはすでに、母の強さが宿っている。乳がん再発後に言っていた、だいたさんの言葉がよみがえってきた。
「私、起き上がりこぼし人間になりたいんです」