南果歩「今は自分のために生きる時間」渡辺謙との離婚で変わった価値観
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■「逃げることは恥ずかしいことじゃない」

 

“奈落の底”から、自己表現を楽しむ人生へーー。大きな転換を果たした彼女の言葉から、“自由と自立”へのヒントが見えてきた。

 

重度のうつ病と診断され、アメリカへ渡ったことを南自身は「逃げる」と表現したが、決してネガティブな意味ではない。

 

「自分ではどうしようもない場所から離れて、居場所を変えることで見える景色や入ってくるものが変わり、自分を整えることにつながります。つらいことがあるのは大人だけじゃないですよね。いじめに遭っているならクラスやグループ、学校からも逃げる。まったく恥ずかしいことじゃありません。ここにいたらダメになると思ったら、自分を失う前に逃げることも選択肢の一つです」

 

大きな出来事だけでなく、つらいことや日々の生活に埋もれてしまった自分を見つけていくことも、精神的な自立への一歩となる。

 

「『どっちでもいい』『あなたの好きなほうで』というのが当たり前になっているとしたら、『私はこう思う』『私はこうしたい』と、自分の意見をひとつずつ増やしていくことで、自分の輪郭がはっきりしてくると思います。そして、生まれてきた自分の意見を発言していく。自分を取り戻すことが、自立につながるんじゃないかと思います」

 

以前、テレビ番組に出演していた際に、離婚後、相手に対して「怒りはない」と語っていたことがあった。それについて本人に尋ねると、ネガティブな感情を抱え込まないよう、自分の感情とうまく付き合っていると教えてくれた。

 

「たとえば『あの人のせいで』『あの人がこんなことしたから』とか、人に対する負の感情を持つことが私にとっては不健康なことなんです。だからいつも、感情をゼロ地点に戻すようにしてきました。好き嫌い含め、どちらかに大きく偏らないニュートラルな状態でいるほうが、私は心地よく過ごせます」

 

過去に起きたことや、過去の感情にとらわれず、とにかく“今”を楽しみながら生きる。すると、さまざまな発見があるという。

 

「状況が変わると、新しい視点が生まれ、気づかなかったことが見えてきますよね。どういう道を選んだとしても新しい自分を見つけられます。すると、過去に置いてきたものをふとよみがえらせるようなことがあっても、今は違う自分を生きている。今、『私の人生はもっと面白くなる』と思えています。いろいろな道をたどってきた50代だからなのかもしれません」

 

これからも“新しい南果歩”の活躍を目にすることだろう。

 

■“熟年離婚”を考えているあなたへ

 

解決できることが解決したらお相手と一緒にいたくない、と思うのなら自分の人生を歩むのも選択だと思います。一過性の感情ならばクールダウンしてもいいのかな、とも。ただ、結婚していても、一人になっても、人それぞれにある幸せを見つけるのがいちばんだと思います。

 

【PROFILE】

みなみ・かほ/’64年1月20日生まれ。兵庫県出身。’84年に映画『伽倻子のために』の一般公募オーディションに合格し、デビュー。12月16日より福島県南相馬市Rain Theatreで行われる谷賢一演出の舞台『家を壊す』に出演。

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