映画「零落」で主演を務める斎藤工(撮影:彦坂栄治/まきうらオフィス) 画像を見る

「若さ、才能、人気……上がったものは必ず落ちるというのは誰しも思い当たること。僕自身、その放物線を大いに実感しているいっぽうで、自分だけはそうじゃないと信じているところがあって、“『零落』とはお前のことだ!”と突きつけられたような気がしました」

 

そう話すのは、竹中直人監督の映画『零落』(3月17日より公開)で、落ちぶれた元人気漫画家を演じた斎藤工(41)。

 

タイトルの「零落」とは、落ちぶれること。浅野いにおの原作漫画のファンであり、竹中作品を敬愛する斎藤は、いつになく「この役を人に奪われたくない」という欲が生まれたという。

 

「好きすぎて嫌いというか、自分の状態がよくないと対峙できないような作品です。人には見せたくない、ネガティブな部分を描いているので、見ると、自分の内臓がえぐられるような気持ちになる。でも、どうにも引き付けられてしまうんです」

 

40代に入り、役者としては今、放物線のどの位置にいると感じているのだろうか?

 

「今はしっかり下降していると思います(笑)。長く売れない時代を過ごした僕が、急に日の目を見たときに強く感じたのは恐怖。“これは一時的なものだ”と必死に自己防衛していました。メディアに消耗されて、のみ込まれまいと必死でした」

 

年を重ねることは「決して下降ではない」と語る斎藤。そんな斎藤が考える、成熟した男の色気とは?

 

「この作品でいうと、竹中さんってめちゃくちゃおしゃれで、60代であんなにアクセサリーが似合うって、どんだけセクシーなんだろう!と(笑)。それでいてものすごくシャイだし、そのコントラストが織りなす人間的な魅力に憧れますね」

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