北京の隣、天津市にある火葬場には霊柩車の行列ができてしまう事態に……(写真:天津市の古文化街) 画像を見る

中国では12月に入ってから20日までに2億5000万人が新型コロナウイルスに感染したと海外メディアのフィナンシャル・タイムズなどによって報じられた。

 

中国政府はこれまでの厳しい「ゼロコロナ」政策を今月7日に大幅緩和。

 

「今までは事あるごとにPCR検査の陰性証明が必要だの、町をロックダウンするだの厳しく行動制限していたのに、政府はコロナ対策を一気に緩和。すると想像していた以上にコロナの感染が広がり、大都市では収拾がつかない事態になっています」

 

こう話すのは、日系企業で中国駐在員として働く森田裕二さん(仮名・50代男性)。

 

各メディアによると中国ではコロナ感染者が急増し、発熱外来では診察までに6時間待ち、人手が足りず医療関係者はコロナ陽性でも勤務要請が出ているという。

 

「ゼロコロナ」政策崩壊のきっかけは11月。政府による厳しいコロナ対策への不満が募るなか、新疆ウイグル自治区で10人が死亡する大規模な住宅火災が発生。コロナ対策が原因で救助が遅れたとの見方が強まり、政府に対する抗議デモが中国全土に広がったのだ。

 

そんな中国政府による“厳しすぎた”「ゼロコロナ」政策の実態とはいったい――。

 

「今年の3月、人口300万人ほどの同じ市で1人のコロナ感染者が出ました。すると次の日から市外に繋がる道路が封鎖され、隣の市の会社に出勤もできなくなりました」(前出・森田さん)

 

さらに次の日には、数日前に行った近所の日本食店から1本の電話があったという。

 

「週末に1人で行った日本食店の店主から『コロナに感染した人がうちの店に来ていたことが発覚した。森田さんも同じくらいの時間に来ていたから、これからホテルで隔離になる。あと1~2時間ほどで防護服の人が迎えに来ると思うから準備しておいて」と電話がありました。2時間後には日本でいう保健所のような所から防護服を着た人が迎えに来て、そのままホテルで2週間の隔離になりました」(前出・森田さん)

 

さらに、ホテルでの隔離期間が終わった後も、1週間の自宅待機が課せられたという。

 

「ホテルから自宅に帰ってきた日には『これから1週間の自宅待機になる。あと2時間ほどで玄関に監視用のセンサーを取り付けられるから今のうちに食料を買っておいで』と保健所の人から電話がありました。そのあとは、また防護服を着た人が来て自宅の玄関にセンサーを取り付けられました。そこから2日に1回、PCR検査の人が来るとき以外は一切ドアを開けずに自宅待機をしました」(前出・森田さん)

 

玄関につけられたセンサーについて管理者に問い合わせたところ、センサーには通信機能があると言われたという。

 

後日、電話がきた日本食店に行くと店主が「保健所の人が店に来て、陽性者がいた時間の防犯カメラを見せろと言われた。防犯カメラの録画を一緒に見ながらこの人は誰? この人は誰? と聞かれて、全員に電話して隔離になることを伝えてと言われたんだ」と教えてくれたそうだ。

 

そんな厳しい「ゼロコロナ」政策が崩壊となった今、中国ではコロナの感染が爆発的に進み、森田さんの会社にいる社員約200人のうち、すでに100人以上がコロナに感染。

 

死者数も急増しており、テレ朝NEWSによると北京の隣、天津市にある火葬場には霊柩車の行列ができてしまう事態になっているという。

 

中国の検索サイト「百度」でも「火葬場」の検索件数が、7日から27日時点で5倍以上になっているのだ。

 

“やりすぎ”な「ゼロコロナ」政策の大幅緩和。一気に規制を緩めるほか、対策は無かったのだろうか――。

【関連画像】

関連カテゴリー: