■稲の研究に静かな情熱を燃やされて
だが、“試練”に直面しつつも、悠仁さまは静かに研鑽を積まれていたのかーー。
「7月に初の地方でのご公務として、秋篠宮さまと鹿児島県を訪問された際も、同世代の高校生とほほ笑みながら語らわれていました。悠仁さまは幼いころから生物学に興味を抱かれており、同じような関心を抱く学生と楽しそうにお話しになる光景には、顕著なご成長ぶりを感じました。
さらには、先日17歳のお誕生日に際しての“ご近況”で、中学校時代に始められた稲の遺伝子や品種改良に関して自由研究を継続されていることが公表されました。悠仁さまは夏休み中に、茨城県つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構をお一人で訪れ、研究者たちに質問されていたそうです。
これほどまでに稲の研究への情熱を燃やされていることには、宮内庁内部でも驚く声が上がりました」(前出・皇室担当記者)
皇室にとって稲は、ただの農作物の一つではない。皇室ジャーナリストの久能靖さんはこう話す。
「天皇がその年の新しい米を神々に捧げる新嘗祭など、皇室の祭祀にとって米は、古来大切なものとされてきました。昭和天皇、上皇さま、天皇陛下は、代々皇居で田植えから稲刈りまでを行われ、収穫されたお米を神々に捧げ、五穀豊穣を祈られてきたのです。
代々の天皇は生涯を通じてライフワークとする研究に取り組まれています。昭和天皇はヒドロ虫類の分類学を、上皇さまはハゼなどの魚類を研究されてきました。天皇陛下も、学生時代から水の問題について多分野にまたがる研究をなさっています。
悠仁さまが稲の研究を熱心に続けられ、生涯にわたる研究テーマになるのであれば、とても喜ばしいことだと感じています」
試練を乗り越えられる過程での悠仁さまの“覚醒”――。静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、“将来の天皇”の成長のあるべき姿であると、喜びを交えながらこう語った。
「生き物や農耕文化への関心は、将来への学びにつながるものとして、そして近代以降の天皇が大切にされてきたなさりようにも通じる分野と言えます。
上皇さまや天皇陛下と同じように、多くの同級生と学生生活を過ごされることは、一般国民のライフスタイルへの理解を深めるためにも望ましいことです。今後もそうしたご姿勢を大切にされ、国民との信頼を育まれることを願ってやみません」
“僕が天皇に”ーー。教材をたくさん詰め込んだリュックサックを背負うかのように、誰よりも重い運命が双肩にのしかかる日々。悠仁さまは今日も一歩ずつ、即位するその日を目指して歩まれている。