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「うちの写真館には、お友達同士で来られる女性が多いんですね。『その色似合うわよ~』『そのうち、この写真が遺影になるのかしら』なんて冗談も言いながら、みなさん女子高生みたいに、キャッキャと楽しんでおられます」

 

そう話すのは、3年間で約4,000人の“シニア女性”(60代以上)を、メークで“美再生”してきたカリスマヘアメークアップアーティストの赤坂渉さん(34)。赤坂さんは’14年に仲間のスタイリストやカメラマンと3人で、東京・巣鴨に、シニア専門フォトスタジオ「えがお写真館」をオープン。

 

60代以上の“シニア層”を対象にした日本初の写真館として、多数のメディアで紹介されている。“シルバー”と呼ばれていた高齢者を、若々しく“シニア”と呼び、イメチェンを仕掛けたのも赤坂さんらだ。

 

人気の秘密は、ヘアメークから洋服のアドバイス、撮影まで含めて1万9,800円(税別)という手ごろさと、赤坂さんの“美再生”術。赤坂さんがメークを施せば“マイナス10歳以上の若返り”も夢じゃない。噂を聞きつけて、すでに来年4月まで予約でいっぱいという盛況ぶり。

 

訪れる人もさまざまだ。娘が母親にプレゼントするケース、友達同士の記念。なかには、こんな人もいたという。

 

「50代の方が、『これから抗がん剤治療で髪が抜けるから、その前に』と、いらしたことも。少し涙ぐまれるような場面もあったのですが、できるだけ楽しくお話をして、精いっぱいキレイにしてさしあげたところ、『私は、こうやって準備ができるだけ幸せね』と、喜んでくださいました」(赤坂さん・以下同)

 

病いと闘う前に訪れる人もいれば、病いに勝って訪れる人も。

 

「抗がん剤治療を終えた方が、生えかけたツンツンのヘアスタイルを『記念に撮っておきたい』といらしたこともありました。人間って再生できるんだ、ってうれしくなりましたね。これから病いと闘う方にも、見せてあげたいなと」

 

どの女性にも共通して言えるのは、「美しくなると元気になる」ということだ。

 

「ご来店時は杖をついてしんどそうにされていた80代の方でも、メークをしてキレイになると、杖を忘れて帰るくらい元気になられて(笑)」

 

シニア世代ならずとも、40歳を過ぎれば、しみ・シワ・たるみなどさまざまな悩みがつきまとう。メークで美再生するコツは--?

 

「シニア女性のメークは“失われたもの”を取り戻すためのメークです。年齢を重ねるごとに失われる、肌のツヤや血色を補う。薄くなった唇に、厚みを持たせる。左右不均衡になった眉毛の高さをそろえる……。これだけでも、その人が本来持っていた“美”を再生することができます」

 

つまり赤坂さんは、加齢でマイナスになった部分を、メークでプラスにし、“ゼロ”に戻すことで、「その人らしく美しくする」のが、シニア女性のメークのコツだと言う。

 

「僕は、“ビフォー”の顔を否定したくないんです。目の手術を受けて左右の大きさが違う方や、病気でまぶたが落ちてきている方もいますが、生きざまが表れているから、その顔も悪くない。ご本人がいちばんコンプレックスに感じている部分をメークで補うだけで、自信が出て、驚くほどキレイになるんですよ」

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