懐かしさと“できたて感”が同居する「一冨士」のラーメン。光の差し込む明るい二階建てのお店は、改装してまだ2年。そして現在お店を切り盛りする3代目の若きご主人のもと、嫁いできたのが佐藤和実さんだ。

 33歳の若きおかみさんとして、とても気持ちの良い接客をする和実さん。お店に入ってわずか1年半というが、とてもそうは思えない。フレッシュな雰囲気の中にも、すでに出来上がった落ち着きがある。

 「結婚前はリフレクソロジーなど施術の仕事をしていました。人と接することは好きでしたし、仕事を通じてお客様とのコミュニケーションをはかる経験も積んではいましたね。でも1対1で1時間かけて信頼を築く施術の仕事と違って、ここでは1時間に何十人といらっしゃるお客様一人一人に喜んでいただけないといけない。一瞬一瞬が勝負、難しいです」

 たしかに。駅から徒歩1分の好立地もあいまってか、昼のピーク時を過ぎても「一冨士」の客足は途切れない。次々と入る注文。餃子や半チャーハンのセットを頼む人もいて、目が回りそう。厨房をのぞくと、若いけれど経験豊富そうな職人さんが、麺上げのザルを両手に2杯、3杯、4杯とリレーのように麺を盛っていく。早いけれど雑ではない仕事が、イキのよい味を生む。

 見事な手さばきでラーメンを作る職人の石黒さんは、キャリア20年以上のベテラン。高校時代にアルバイトで働いたのをきっかけに、ずっとこのお店で働いてきた。ホールで働く奥様方も、皆30年、40年、ずっとここで働いてきた。これだけ多くの人たちが長く働き続けているお店も、最近では珍しい。てきぱきと働く若い中国人の女性スタッフも、早いものでもう3年。「他でも仕事しましたけれど、ここはみんなやさしいね…」 

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