再開発で新しいビルが立ち並ぶ街に変わった大井町。昔ながらの古いお店が残る横丁で、代替わりしたご主人のもと、店構えも新しくなった「一冨士」。3年前の平成18年12月に、今の新しいお店に改装。翌19年の4月に先代の文彦さんは亡くなられた。「最期まで新しくなったお店に立ちたがっていた」と妻の佳代子さんは振り返るが、息子に新しいお店を託すことができた満足感も大いにあったことだろう。

 「変わらない横丁とおっしゃいますけど、お店の入れ替わりはずっと激しいですよ。この並びの中華のお店、「永楽」さんと「朋友」さんは最初からずっと続いていますけど、バーやスナックは出入りが激しいですね。でも大井町も、最近は若い人向けの新しいラーメン屋さんがずいぶん増えましたねえ…」

 再開発、そして時代の移り変わりとともに「一冨士」の客層もずいぶん変わってきたという。かつては地元の家族連れが2代3代にわたって来店していたが、現在ではオフィス街のサラリーマンが中心。

 「昔から住んでいた人は、区画整理とかで郊外に引越されたから…最近は法事とかお墓参りで来た時に立ち寄るくらいですねえ」(佳代子さん)

 「私はこのお店で働いてまだ1年半ですから、逆に10年ぶりとか20年30年ぶりとおっしゃるお客様と出会った時は、新鮮ですね。それこそ『おまんじゅうやってたわよね?』とか甘味の頃にいらしてたお客様も いらっしゃって(笑)」(和実さん)

 お店でのキャリアこそ1年半だが、以前から大井町で働いていたという和実さん。この街のことはよく知っている。お昼を終えたサラリーマンのお客さんに『近くに喫茶店ない?』と聞かれ、丁寧に答えていた。

 「地域情報はけっこう聞かれますね。『おすすめの歯医者さんある?』とか(笑)…毎日いらっしゃるサラリーマンのお客様、何十年ぶりかにいらっしゃる昔からのお客様。私たちの代は始まったばかりですが、みなさんに喜んでいただけるお店にしていきたいですね…」

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