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厚生労働省の報告書によると、今や2人に1人が何かしらのアレルギー疾患を抱えているといわれる、アレルギー大国・日本。わが子や自分自身の食生活に制限が課せられている人も少なくない。

 

三大アレルゲンである小麦、鶏卵、牛乳(および乳製品)をはじめ、忌避すべき食品が多いなか、安心して食べられるものを探して日々奔走し、ときには“大好きだったあの食べ物”との決別を強いられるのは非常につらいものだ。

 

また、小麦に含まれるタンパク質成分「グルテン」の過剰摂取が体調不良を招く、という認識のもと、グルテンフリー志向も高まっている。しかし、そのぶん食費が高騰したり、味覚面で満足できないという悩みも多い。

 

そんな人たちに朗報だ。小麦粉、卵、乳製品をいっさい使わず作れる、おいしいパンのレシピがひとりの女性によって編み出された。

 

使うのはなんと「生の米」。今までも米粉を使ったパンはあったが、これは生米100%。もちろん、米は家にあるものでOK。専用の器具や特別な材料も不要と、まさに魔法のレシピなのだ。

 

考案者は『生のお米をパンに変える魔法のレシピ はじめての生米パン』(光文社)の著者であるリト史織さん。予約の取れないリトさんのパン教室のレシピを、今回は特別に大公開。

 

■基本の生米パン

 

【材料】1/3斤食パン型(16.5×6.2×6cm)1台分

 

A〈米…115g(浸水済み150g)、好みの油…13ml(大さじ1)、メープルシロップ…8ml(小さじ1)、塩…2g(小さじ1/2弱)、湯(約50°C)…70~75ml〉
酵母…3g

 

【作り方】

 

(1)軽く洗った米をボウルに入れ、水1カップ程度(分量外)を加えて2時間以上ひたす。

(2)型にオーブンシートを敷く。

(3)米をざるに上げ、しっかりと水けを切る。水けが残っていると、生地がやわらかくなりすぎるので注意。また、乾きやすいのでミキサーに入れる直前に水けを切る。

(4)Aをミキサーに入れ、少し温度が下がったところで酵母を加える。

(5)ミキサーを30秒ほど回しては止める動作を3~4回くり返す。途中、ミキサーの側面に飛び散った生地をゴムベラでこそぎ落し、全体を均一に攪拌する。

(6)生地を型に流し込む。乾燥はヒビ割れの原因になるので、霧吹きで表面全体に水を吹きかけ、ふたをする(アルミホイルで覆ってもよい)

(7)40度に熱したオーブンに入れ、15~20分発酵させる。

(8)生地がもとの1.5倍ほどにふくらんだらオーブンから取り出し、室温においておく。オーブンを180度に予熱し始める。予熱している間に、発酵がさらに進む。

(9)予熱が完了し、生地がもとの2倍ほどにふくらんだら、焼く直前に霧を吹き、30分焼く。

(10)表面にこんがり焼き色がついたらオーブンから取り出す。粗熱がとれたら型から出す。

 

このレシピはどのようにして誕生したのだろう。

 

「長女の出産後、ひどい花粉症と肌荒れに悩まされ、いいといわれることをあれこれ試したところ、効果を感じられたのがグルテンフリーでした。私の場合、腸で小麦の消化がうまくできず、出産を機に体に拒否反応が生じたようです。でも、大好きなパンをあきらめたくはなくて……。最初は米粉を使っていましたが、米粉が作られる工程での酸化などが気になり始め、生米をその場でくだいて作る生地への工夫を重ねてみたのです。結果、米粉パンより簡単で、作業時間も短縮できるように。そしてなにより、モチふわ食感が際立ち、お米の甘みやうまみが存分に感じられる焼き上がりになりました」

 

実際口にした「生米パン」は、軽い口当たりともっちりした食感を楽しんだあと、口の中ですっととろけた。冷めてもパサつかず、翌日もふわふわ感がそのままだ。ぜひ、「うちの米」で作るおいしいさを味わってほしい。

 

「女性自身」2020年3月17日号 掲載

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