最近、肥満は腸内環境の乱れが原因だといわれている。そこで自律神経研究の第一人者、順天堂大学教授の小林弘幸先生に、ダイエットと腸の関係について聞いた。

 

私たちの腸のなかでは、100兆個もの腸内細菌が生息している。その種類は大きく分けて3つ。ビフィズス菌などに代表される「善玉菌」は、消化を助けたり、発がん物質を無害化させたり、有害物質を排出するなどの働きがある。「悪玉菌」には、腸内を腐らせたり、発がん物質や有害物質を作る働きが。3つ目は、腸の状態によってどちらにも転ぶ「日和見菌」だ。大腸菌がその代表といえる。

 

「腸内環境にとっては、善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7という割合が良好です。ところが、この割合は生活習慣ですぐに変化してしまい、これが肥満の原因になります。腸内細菌は私たちが食事からとる栄養素の『残り物』を食べて生きていますが、偏った食事が続くと日和見菌が悪玉菌に変わって増殖。これが有害物質を作り出し、血液をドロドロにしてしまいます」(小林先生)

 

血液には栄養を全身の細胞まで届ける働きがある。しかし、ドロドロ血だと細胞が受け入れを拒否し、皮下脂肪や内臓脂肪にばかり栄養が届けられ、太りやすくなるというのだ。

 

「腸内環境が乱れると、全身の血流そのものも悪化します。腸内環境は自律神経の働きと密接に関係していて、悪玉菌が増えると副交感神経の働きが低下。血管が収縮して、血流が悪くなる。すると、代謝も下がり、ますます痩せにくい体に……。腸内環境の乱れは、肥満スパイラルのはじまりというわけです」(小林先生)

 

ストレスや不規則な生活習慣、睡眠不足が加わると、腸内環境はさらに悪化するという。「ですからダイエットをお考えなら、まずはぜひ生活習慣の見直しを。腸内細菌たちのご機嫌を損ねると、努力もすべて水の泡……ではなく、脂肪に変わってしまいます!」(小林先生)

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