「わかっていても、毎年繰り返してしまう『お正月太り』。あなたは大丈夫ですか?肥満が高血圧や高脂血症を引き起こすことは、これまで幾度もお話ししたとおり。ほかに、女性に多い頭痛も、肥満によって多発することがわかったんです!」

 

そう話すのは、順天堂大学教授の小林弘幸先生。米ジョンズ・ホプキンス大学が、反復性片頭痛(1カ月の半分以上または年に数回起こる片頭痛)が発症する成人男女を調査した結果、その発症リスクに肥満が関係していることが明らかとなった。

 

「調査結果を『低体重』(BMI18.5未満)、『標準体重』(18.5〜24.9)、『過体重』(25.0〜29.9)、『肥満』(30.0以上)の4つに分類したところ、標準体重の人たちに比べ、過体重群は頭痛の発症リスクが1.28倍に。肥満の人は1.81倍上昇することがわかりました」

 

いっぽう、低体重群の発症リスクは0.5倍。つまり、BMIが増加するほどに、頭痛は発症しやすくなるという。さらに、年齢、人種、性別による解析も行った結果、肥満のなかでも『50歳未満の白人女性』が要注意だった。

 

「この実験では白人とアフリカ系人種のみが対象でしたが、わが国でも片頭痛は男女比4対1の割合で女性に圧倒的に多い症状。これは女性ホルモンの影響ともいわれていますが、ともかく女性の肥満は、頭痛の引き金になるといえるでしょう!」

 

ではなぜ、肥満が頭痛を引き起こすのか?

 

「答えは血流障害です。そもそも肥満の人は、血流が悪く、代謝がよくない状態にあります。皮下脂肪や内臓脂肪がたくさんつくと血管は圧迫されてしまいますが、太りすぎると、循環の要である大動脈や大静脈の周りや肝臓の周りも脂肪だらけに!もちろん血中コレステロールも増加するので、肥満は血流の大敵です」

 

これが、頭の血流にも影響を及ぼし頭痛を引き起こすのだろうと小林先生は考える。

 

「頭痛も、うっ滞や血管の収縮、つまり血流障害が原因ですからね。寝不足や、根を詰めて勉強をしすぎると頭がズキズキするのも、脳が貧血状態に陥っているためです。頭痛に限らず、肥満による全身の血流不足は、めまいや肩こり、腰痛なども誘発。美容面からだけではなく、つらい症状を防ぐためにも、肥満は避けたいですね」

 

お正月、食べすぎてしまったという方は、血管の周りが脂肪だらけになる前に早めの対処を!

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