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「牛乳そのものが悪で、飲めばがんに直結するというわけではありません。でも、飲みすぎはよくないでしょうね」

 

そう話すのは、済陽式食事療法を確立し、66.3%のがん患者の病状を食事によって改善させてきた西台クリニック院長、済陽高穂先生。とくに、日本人女性の12人に1人がかかる乳がんは、「牛乳や乳製品を多く取ることでリスクが上がる」というから穏やかでない。健康に欠かせないと考えられてきた牛乳だが、なぜ飲みすぎはよくないのか−−。

 

「牛乳や乳製品のなかには、動物性脂肪とタンパク質が多く含まれていて、これらの取りすぎが、がんを招きます。動物性タンパク質は本来、人間にとって分解しにくい栄養素なんです。そのため、過剰に摂取すると、肝臓はなんとか処理しようと懸命に働き、分解と合成を頻繁に繰り返します。それによって遺伝子の結合ミスが起こりやすくなり、がんの原因となる異常な細胞が生じやすくなるのです」

 

動物性タンパク質が多く含まれるといえば、日本食より欧米食。’60年と’00年の「日本人の食材の変化」(厚労省)と、「年齢階級別乳がん罹患率の推移」(行政独立法人国立がん研究センターがん対策情報センター)を見てみると、日本人の肉や牛乳、乳製品、油脂類の摂取が大幅に増えるにつれて、乳がん死亡率が上昇していることがわかる。

 

さらに、取材班が調べたところ、女性ホルモンのエストロゲンと、乳がんの因果関係を示す文献も見つかった。コーネル大学、オックスフォード大学、中国予防医学研究所が、中国農村部の食習慣を研究した「チャイナ・プロジェクト」のデータによると、脂肪や動物性タンパク質を多く取る欧米の女性が、生涯にわたってさらされるエストロゲンの量は、中国人女性に比べて2.5〜3倍も多いという。(『チャイナ☆スタディー』グスコー出版)

 

乳がんの多くは、エストロゲンの影響を受けて分裂、増殖する「ホルモン感受性乳がん」と呼ばれるもので、エストロゲンの分泌を活性化させる欧米スタイルの食生活を続けていると、乳がんのリスクが高まる可能性があることを示唆している。また、済陽先生は、昔に比べて搾乳開始の時期が早まったことにも、問題があるとしている。

 

「以前は、牛が出産して1カ月くらいたってから搾乳していました。しかし、生産性を上げるために、いまでは出産から搾乳までの期間が半分くらいに縮まっているところもあります。産後間もない牛だと、妊娠を維持するホルモンが残っている可能性が懸念されるのです」

 

ホルモンが混入した牛乳はエストロゲンなどの性ホルモンに作用し、乳がんを誘発するリスクも否定できないという。では、がんにならないために、牛乳や乳製品は、どう選べばよいのか。

 

「安全性が高く高品質な牛乳を選んで、少量をたしなむことです」

 

高温殺菌の牛乳はタンパク質が熱変性しているほか、ホモジナイズという工程を経ている。これが酸化を急激に進め、過酸化脂肪を生じさせる。過酸化脂肪は、がんの発生原因の1つともされている。低温殺菌でもこのホモジナイズを経ているものがあるので、低温殺菌かつ、ノンホモ表示の牛乳がお薦めだ。

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