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「ADHDと認定された患者数は、平成23年には大人と子どもを合わせて1万7,000人だったのに対して、26年には4万8,000人に増加しています。理由としてはADHDの特徴が世間に認知されていったことで、診察に訪れる人が増えたことが大きいと思います」(厚労省障害福祉課)

 

今、大人のADHDと診断される人が増えている。ADHDとは「注意欠陥多動性障害」の略語。ADHDの主な症状は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つ。「不注意」は集中力が持続しない。「多動性」は落ち着きがない。「衝動性」は待つことができない。その結果、物事をうまく進めることができず、失敗続きになり、周囲からは「だらしない」「いいかげんだ」と非難され、自信をなくし、生きづらさを感じてしまうのが特徴だ。

 

これまでは本人の努力不足だと考えられてきたことが、ADHDが原因の場合もあると認知されるようになってきた。忘れ物や遅刻が多く、掃除や片付けが苦手、落ち着きがなく、相手の話を最後まで聞けないなどと悩んでいる人は、ADHDが原因かもしれない。では、大人のADHDにはどう対処すればいいのか?そこで、「大人のADHD対処法」を紹介。

 

【先延ばし】

・やるべきことを全て書き出す

・優先順位をつける

・スケジュール帳をつけ、朝晩に見る

【ケアレスミス】

・自分のミスの対策ノートを作る

・自分を責めない

【散らかってしまう】

・鍵は鍵置きなど、物は置き場を決めて、必ずそこに戻す

【やる気がでない】

・やり遂げたイメージを思い浮かべる

・「自分へのご褒美」でやる気を出す

【家事】

・食洗機を使う

・なるべく食器を使わずにワンプレートで

 

ADHDの症状は誰にでも当てはまりそうなことも多い。しかし、臨床心理士の南和行先生によると、ADHDの症状で困っている人に対して、よくあることだと同調する言動には、注意が必要だという。

 

「ADHDの方に気を使って言ってしまいがちなんですが、『それって誰にでもありますね』と言われることで、本人は傷つくのです。『よく物をなくすんです』と聞くと、『私もよくなくしますよ』と同調してしまう人が多いのですが、ADHDの人には、それを言わないよう注意が必要です」

 

日常生活を送るうえでは、苦手なことに対して、どういう特性が影響しているのかを冷静に見極めつつ、周りの助けも借りながら適度に努力することが必要だ。

 

「ハードルを1段下げることも大事です。たとえば食器洗いが苦手な人は食洗機を買うなど、手抜きでいいと考えることです。女性の場合、苦しんでいるのはご主人の理解がないとか、姑からこんなこともできないのと言われたりする場合が多いのです。そういった場合は、最低限ここまでやってほしいけれど、あとは仕方ないと、周りが理解して、期待のハードルを下げるということが大事です」(南先生)

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