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ニオイの刺激によって、女性の心や体に影響を及ぼす女性ホルモン、エストロゲンの分泌が上昇することが科学的に判明したという。

 

「体内のエストロゲンは妊娠などで一時的に増えることがありますが、年齢とともに減少していきます。更年期障害はエストロゲンの減少によるもの。最近では、仕事や人間関係のストレスなどによって更年期障害が30代で始まってしまう人が増えているんです。いっぽう、60代ごろになってから始まる人も増えてきていて、幅広い年代の女性の悩みとなってきています」

 

そう語るのは、日本アロマ環境協会と共同で研究発表をした、長崎大学大学院教授の篠原一之先生。更年期障害の主な症状は、のぼせ、冷え、眠れない、元気がない、肩こり、めまいなど。暑くもないところで急に汗が噴き出てくるホットフラッシュなどもよく知られている。

 

「女性ホルモン剤の投与で、これらの症状は改善できます。ただ、薬を飲まずに体の内側から自然に増やすことができたら、そのほうがもちろん、手軽ですよね」(篠原先生・以下同)

 

たしかに、更年期のつらい症状が、ニオイをかぐだけで軽減できるなら、すぐに試したい。

 

「もともと私は女性のうつ、不安の原因になるホルモンを専門に研究しており、ホルモンがフェロモンによって増減することを、海外メディアに多数発表しています。フェロモンとは、その人自身から出る“ニオイ”のこと。母乳のニオイが赤ちゃんのストレスホルモンを下げたり、赤ちゃんのニオイが母親の脳を活性化したりすることが、すでに研究で明らかになっています。また、『生理がうつる』というのも、フェロモンがほかの女性の月経開始を促すんです」

 

“生理がうつる”は本当だった!

 

「ニオイにはすごい効果があるんです。また、週に3日ほど男性と添い寝すると、男性のフェロモンが女性ホルモンに影響し、生理周期が安定するという研究結果もあるんです。この結果は更年期治療にも効果的だと考えましたが、人間のフェロモンを治療に使用するのはさすがに難しい。そこで、代わりになるものを探し、アロマにいきついたんです」

 

今回の実験では、更年期障害が現れ始める40代の女性15人が10種(イランイラン、オレンジ・スイート、カモミール・ローマン、クラリセージ、ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、フランキンセンス、ラベンダー、ローズオットー)の精油(アロマオイル)を20分間、吸入。吸入前と吸入後の睡眠中のエストロゲン量を比較した。その結果、ゼラニウムとローズオットー、2種類の精油をかいだときにエストロゲンが上昇した。つまり、精油のニオイをかぐと、エストロゲンがアップすることが数値的に証明されたのだ。

 

では、どのようにしてアロマのニオイを生活に取り入れるのが効果的なのだろうか。

 

「わずか20分吸入しただけで体内のエストロゲンが増えたということは、即効性があるということになります。更年期障害の症状であれば、イライラしたり、めまいがしたりと、心や体に不調を感じたとき、すぐにかぐのが効果的だといえますね」

 

外出時でも、症状が出たときにすぐ対処できるのはうれしい。ハンカチなどに数滴垂らして持ち歩き、直接鼻に当てたり、ハンカチをパタパタとあおいでかぐのがおススメだ。実験のように20分間かぎ続ける必要はなく「いい香りだな」と思える程度でいいそう。また、アロマスプレーも効果的。スプレー容器に精油、無水エタノール、精製水を一緒に入れておき、空中にシュッと漂わせてみよう。

 

ただし、エストロゲン増加のためには、以下の注意点があるという。

 

「精油は単品で使うのがおススメです。アロマセラピーではブレンドして使うことも多いですが、その結果、お互いの効果を弱めてしまう組み合わせがあるからです。エストロゲンの分泌を促すことを目的とするなら、ゼラニウムかローズオットーのいずれかを単体でかいだほうがいいですね。ローズオットーは高価なので、ゼラニウムがもっとも取り入れやすいでしょう」

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