image

 

「突然、目がぐるぐる回りだし、ときには冷や汗が出たり、強い吐き気をもよおしてしまうことも……。こうしためまいの7割は、内耳のトラブルが原因です」

 

そう話すのは、『めまいは寝転がり体操で治る』(マキノ出版)の著書もある、聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科教授の肥塚泉先生。めまいが生じたとき、つい“脳に問題があるのでは”と考え、耳鼻咽喉科ではなく脳神経外科や神経内科に駆け込む人もいる。

 

「ろれつが回らない、まひやしびれ等があれば脳障害が疑われますが、それらがない場合、耳の病気である可能性が高いでしょう。それなのに医療機関では“精神の病い”と誤診され、精神安定剤ばかりを飲み続けて、根治できないケースもすくなくありません」

 

このようなめまいは女性の場合、40代から閉経時にかけて、「老化」とともに発症する

人が多くなるという。転倒するリスクは通常の2倍、外出中に大事故を引き起こしてしまう危険性もある。

 

そこで、肥塚先生に「耳を守るための知恵」を教えてもらうことに。まずは、耳の構造と役割から肥塚先生は語ってくれた。

 

「耳の入口から2.5センチほど奥にある鼓膜までが外耳、鼓膜から1センチほど奥にある空間が中耳、さらに奥にある部分が内耳になります」(肥塚先生・以下同)

 

内耳は、鼓膜からの振動を電気信号にして、脳に伝える。内耳にある蝸牛という器官は、マイクのようなものだ。そして前庭神経は、体の平衡感覚を保つために存在している。

 

「三半規管は3つの半円の管からできており、内部はリンパ液で満たされ、その流れ方で垂直方向、水平方向の回転運動を感じ取ります。三半規管の下部にある耳石器には、カルシウムでできた無数の『耳石』が詰まっており、耳石が動くことで私たちは上下、前後、左右の動きや傾き、重力を認識します」

 

ふだん私たちがまっすぐ歩けているのは、“健康な耳のおかげ”といってもいいのだ。

 

「良性発作性頭位めまい症」、「メニエール病」、「めまいを伴う突発性難聴」、「前庭神経炎」などの病気で生じためまいを予防・改善するために、患者本人が簡単に自宅などでできることがある。それが次の「バランス体操」だ。

 

■指はココ!運動

 

片方の腕を前に伸ばし、人さし指を立てる。目線を人さし指に固定したまま、左右(上下)に頭を10回振る。次に目を閉じて、人さし指の位置をイメージしながら左右(上下)に10回頭を振る。

 

■首振りウオーキング

 

左右(上下)に10〜20度ほど首を交互に傾けながら、近くのものを見続けて10歩。今度は遠くのものを見続けて10歩、まっすぐ歩く。

 

■ブラント—ダロフ法

 

ソファなどに腰かけ、正面を見た状態から、2〜3秒ほどかけて左側に倒れる。このとき、上半身は右側にひねり、目線は45度斜め上の天上へ。この体勢で30秒数える。ゆっくりと体勢を戻し、30秒数える(逆も同様に)。

 

■寝返り運動

 

あおむけに寝て10秒数える。寝返りを打つように、体ごと左に傾けて10秒数える(右も同様に)。

 

「良性発作性頭位めまい症には、『寝返り運動』と『首振りウオーキング』が効果的です」

 

寝返り運動は、三半規管に入り込んで、“かたまり”になってしまった耳石を散らすためにおこなう。首振りウオーキングは、三半規管や目、足の裏を刺激することで、めまいを改善してくれる効果が期待できるという。

 

「メニエール病」、「突発性難聴」、「前庭神経炎」を防ぐには、「ブラント-ダロフ法」がおすすめだという。

 

「平衡感覚が低下している人は、上体を横に倒したときに視界の景色が流れるように見えてしまいます。その景色を意図的に繰り返し脳に送ることで、乱れた平衡感覚を脳に“再調整”させることができるのです」

 

「メニエール病」には、「ブロント-ダロフ法」以外にも、「指はココ!運動」を組み合わせると効果的。首や腰に痛みを感じている人は、無理に「ブラント-ダロフ法」を行わず、地道に「寝返り運動」などを行っていく。

 

4つすべて行っても、1日5分でできてしまうこれらの体操。“健康な耳”をたもつため、寝る前でもいいのではじめてみよう。