「健康な人の血糖値は空腹時で80〜90mg/dl(以下単位省略)。ごはんやパンなど糖質を取れば120まで上がり、やがてゆっくり下降していきます。ところが現代人は、無意識に糖質を過剰に摂取していて、ほとんど依存症に近い状態。そこで血糖値が急激に上昇・下降を繰り返す血糖値スパイクが起こります。この血糖値スパイクが万病のもとなのです」
そう語るのは、『医者が教える食事術最強の教科書』(ダイヤモンド社)の著者でAGE牧田クリニックの牧田善二院長。では、体にダメージを与える“血糖値スパイク”を起こさない生活をするためにはどうすればいいのだろう。
「糖質は生命維持のためには不可欠です。しかし血糖値スパイクを起こしてしまうたちの悪い糖質の摂取を制限したり、急上昇を招くような生活習慣を改めることも、同じように重要です。そのためには、血糖値の上がり下がりを確認しながら生活するのが理想です。数値も70〜140の間にあるのが理想なのです」
そこで本誌記者が装着したのが、15分ごとに血糖値を測定してくれる「FreeStyleリブレ」。数値と照らし合わせることで、何を食べると血糖値が上がったかわかるという優れもの。この最新機器を使って、朝食時の血糖値の変動をチェックしてみた。
■バナナは意外と危険!
忙しい朝といえば、やっぱりバナナでしょう。果物だからヘルシーだし、消化がよくておなかにたまらないのがいい。
ところが、バナナだけを食べて約30分後、血糖値が食前の121から151と、30上昇を記録! こんなに上がるものなの? オレンジだけを食べてみた日は食前の108から130と、22上昇にとどまった。そして後日、バナナに再挑戦。今度はミックスナッツと一緒に食べてみたところ、139に抑えられた!
「バナナの糖質量は100グラム中に21.4グラム。角砂糖7個分の糖質が含まれているのです(オレンジは8.5グラム)。しかも果糖は素早く吸収されるので著しく上昇します。血糖値スパイクを防ぐには、食べ物の消化吸収の時間を長くするのがポイント。バナナをナッツと一緒に食べると消化時間が長くなるのでとても効果的です」(牧田先生・以下同)
■主食でいいのはごはん、それともパン?
朝食で、トーストを食べたら食前の122から143に。別の日に茶碗1杯のごはんを食べたら食前の129から149と、思いのほか上がらなかった。
「量さえ気をつければ、ごはんやパンを食べるのはまったく問題ありません。ごはんは、茶碗1杯(120グラム)で45.7グラム、6枚切り食パン1枚で23.5グラムと糖質量はありますが、野菜や肉類などおかずを同時に取ることで上昇を防げます。ただし、唐揚げやとんカツ、天ぷらの衣には糖質が含まれているので注意が必要です」
■おそるべしメロンパン!
衝撃だったのは、ある日のメロンパン。朝、空腹時にメロンパンを食べたところ、30分後から血糖値がみるみる上昇。食前の105から176に達すると、今度はどんどん降下ーー。見事な血糖値スパイクを起こしてしまった。おそるべしメロンパン。
「空腹時に糖質66.9グラム(角砂糖22個分!)もあるメロンパンを食べるのは命を削っているようなもの。血糖値が急上昇することで、すい臓が疲弊し、インスリンの分泌障害を起こす危険性も。さらに急降下すると、脳の満腹中枢が誤って『何か食べなさい』と指令を出すため、無性に何かを食べたくなってしまい、“肥満スパイラル”に陥ります」