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「胃もたれ、胸やけ、食欲不振、胃が痛む、さらには肩こり、ストレス過多……。これはすべて、胃弱の症状です」

 

そう話すのは、“血管先生”こと総合内科医の池谷敏郎先生。自分も子ども時代に胃が弱かったことや、胃に不調のある多くの患者を診てきた経験から、人々に胃弱を改善してほしいと、『人生は「胃」で決まる! 胃弱のトリセツ』(毎日新聞出版)を11月に出版した。

 

「胃弱とは、胃や食道の一部がうまく働かずに、不調が起きている状態のことです。胃は“ものを言う臓器”。『痛い』『ムカムカする』などさまざまな症状を、“声に出して”訴えてくれます。でも、なかには『食欲がないのは単に疲れているから』とか、自分の胃の声を聞かない人も多い。女性の半数は胃弱だといわれていますが、こうした自覚のない“隠れ胃弱”を含めると、胃弱人口はさらに増えると思われます」

 

ある調査では、胃の不調を訴える人が多い時期は12月と1月だった。忘年会と新年会が重なり、胃に負担がかかるからだと思われる。

 

「胃弱を放っておくと、動脈硬化や胃がん、食道がんなどの病気のリスクを高めます。さらに、胃を守ろうと前傾姿勢になるため、肩や首がこったり、腰痛を引き起こすのです」

 

一口に胃弱といっても、症状や原因はさまざま。代表的なものは、原因の大半がピロリ菌の「慢性胃炎」。胃の自律神経失調症ともいわれる「機能性ディスペプシア(FD)」。そして、胃酸や胃の内容物が逆流して食道が傷つき炎症が起こる「胃食道逆流症(GERD)」だ。

 

さらに池谷先生は、生活習慣とストレスも大きな要因だと話す。

 

「アルコールやたばこ、カフェインの摂取、不規則な生活、睡眠不足も原因です。自律神経の働きは胃に影響を与えるため、人間関係の悩み、家庭や職場のストレスも胃にきます」

 

そこで池谷先生が、4つの「胃弱予防策」を教えてくれた。

 

【ゾンビ体操】

 

脱力して、腕を振りながらその場でジョギングする様子がゾンビに似ていることから、この名前を付けたという。

 

「この運動は、心も体もリラックスさせる有酸素運動です。肩や首の力が抜けて、運動後には副交感神経が優位となり胃の働きをよくします。血流もよくなり胃に酸素や栄養もいきわたります。トイレまで移動するときや、入浴前などにやってみてください」(池谷先生・以下同)

 

ストレス解消にも最適だ。

 

【蒸し大豆ヨーグルト】

 

「乳酸菌が含まれるヨーグルトは腸内環境を整える完全胃腸食。特にLG21乳酸菌は胃酸にも強く、ピロリ菌の数を減少させます。さらに蒸し大豆をそこに入れれば、オリゴ糖や食物繊維も加わった完全胃腸食に。さらにタンパク質が、アルコールなどから胃を守る効果も発揮します。意外な組み合わせですが、おいしいうえ、腹もちするので食べすぎ防止にも」

 

【胃弱ディナー】

 

「朝食を食べられない」のも胃弱のひとつの特徴だと池谷先生。

 

「朝食を抜くと、昼夜でかなりの量を食べてしまう。すると、就寝時に胃を空にして休むことができずに胃酸過多になり、翌朝も食べられないという悪循環に陥ります」

 

朝ごはんを食べるため、「夕食こそ消化のよい“胃弱飯”にすべき」だと、池谷先生。

 

「主食の量を半分程度に減らしたり、ごはんはおかゆにしたりするのもあり。メインは、脂質が少なく良質のタンパク質の多い豆腐や白身魚を。タラやタイなどの白身魚を野菜と一緒にホイルで蒸し焼きにするとおいしいですよ。お肉なら、ヒレ肉など脂の少ないものを煮込んで、さらに脂を落とすといい。野菜は、生のサラダより、みそ汁やスープ、煮物にと、消化によい食べ方にしましょう」

 

【胃弱日誌】

 

「人にはそれぞれ、胃もたれする苦手食材があります。日々の食事のメニューや、飲んだお酒を日誌に書いていくことで、自分が何を食べたら胸やけするかなどを導きだすことができます。芋類、玉ねぎ、お酒、酢など、胃弱の症状を悪化させる原因を探しましょう」

 

もちろん自分だけの時間を作ったり、趣味などを楽しむなどして、ストレスを軽減するのも大切。

 

「食事・運動・ストレスマネジメントを心がけることで胃弱は改善できます。胃の調子がよくなると、肌ツヤや表情も明るくなり、どんどん元気に美しく若返れますよ」

 

元気な胃を手に入れて、美しさと健康を手に入れよう!

 

※YouTube「池谷敏郎 official Channel」では、ゾンビ体操などを動画で解説している。「池谷敏郎 official Channel」でネット検索しよう。

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