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やることは山ほどあるのに、一日中、なんだか眠くてやる気が出ない。布団から外に出たくない。冷え込みが激しいこの季節、気分の優れない「憂うつ感」に襲われる人が増えてくる。

 

「冬の時期、ほとんど太陽が出ない北欧などで患者が増える“冬うつ”は、最近日本でも見られるようになりました。“冬うつ”とは“季節性感情障害”の通称で、憂うつ感に加えて食べすぎ、寝すぎで体がだるい、体重が増えるといった症状が出てきます。厄介なのは、不眠や食欲不振などを訴える典型的なうつとは正反対の症状が出るため、うつであると自覚しにくいところ。放置していて症状を悪化させてしまう人もいるので、早めに気づいて適切な治療を受けることが大切です」

 

そうアドバイスするのは、パークサイド日比谷クリニックの立川秀樹院長。季節に敏感な人に見られる冬うつは、男性よりも女性のほうが多く、ある研究データによると患者数は男性の1.5倍に上るという。主婦のなかでも、自宅にこもりがちになっても大きな支障をきたすことがない人は、症状に気づかず潜在化しやすいので注意が必要だと立川院長は話す。

 

治療は、症状が軽めの人は生活改善などの指導を受けることで少しずつ改善されるが、症状の重い人は投薬治療が中心になる。うつ病など精神疾患の原因の1つといわれているのが、脳内伝達物質「セロトニン」の不足だ。生活改善はそのセロトニンを増やすことから始めるという。

 

「体の中ではさまざまなホルモンや調整物質が分泌されます。心のバランスを保つ脳内伝達物質がセロトニンですが、これが不足すると精神が不安になり、睡眠にも悪い影響を与えます。セロトニンを増やすためには、午前中に最低45~60分程度太陽の光を浴びること。目の網膜が刺激されて、セロトニンが分泌されます。また、光で網膜が刺激されることで、睡眠ホルモンの一種であるメラトニンの分泌をリセットすることができます。冬うつ症状の、過眠、体のだるさは、メラトニンの分泌が増えるからではないかと考えられています。まず、朝起きたらベランダや庭に出ることを習慣にしましょう。それが難しければ、窓やカーテンを開けて直接、朝日を浴びるようにしてください」(立川院長・以下同)

 

「朝起きられない」という人向けに、タイマーをセットしておくと、設定した時間に日光と同じ程度の強い光を浴びられる医療器具も販売されているので、活用するのも手だという。

 

もう1つ重要なのが、食生活の改善。セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンからも作られる。甘い菓子パンや炭水化物に代わり、トリプトファンが含まれる食品をバランスよく食べるようにしよう。

 

「トリプトファンが含まれる食品には、豚肉、大豆製品や乳製品、鶏卵、魚卵、ごま、ナッツ類、アボカド、バナナなどがあります。これらを先に食べると、暴飲暴食が治るかもしれません」

 

増えてしまった体重を元に戻すのはひと苦労。過食と拒食を繰り返さないためにも、生活リズムを整え、3食バランスよく食べる食生活を取り戻し、心も体も少しずつ軽くして冬を乗り切ろう!

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