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人生において訪れるさまざまな転機。なかでも“大きな病気”と向き合うには相当な覚悟が必要です。ここでは、「がん」を経験したことが、その後の生きる糧となった方のお話を紹介。葛藤の日々の先には“新しい私”との出会いがありました。

 

■田中愛子さん(39)・暮らしの保健室かなで「がんカフェ」代表

 

「副作用って、個人差があると思うんです。みなさんは、この薬は本音ではどうでしたか」

 

「実は私、最近、自分がいなくなったあとのことも考えてしまうんです。具体的にはお葬式とか」

 

毎月第1火曜日の11時から15時30分まで、江戸川区松島にある「暮らしの保健室かなで」で開催される“がんカフェ”。がんを体験したサバイバーや、がんと診断され不安を抱えた人、その家族、医療関係者などが集まり、情報交換や相談をする場だ。

 

このカフェを作ったのが、田中愛子さん。自身も、がんサバイバーだ。

 

「32歳で乳がんの告知を受けたとき、最初に考えたのが、49歳で大腸がんで亡くなった父親のこと。がんイコール死でした。手術後に抗がん剤治療を始める前は、将来に備えて、卵子の凍結保存なども検討しましたが、80万円という高額な費用に断念しました。コンサルティングをやっていた職業柄、情報収集も得意のはずでした。しかし、孤独感や死の恐怖など、体験した者でしかわからない悩みが、より深刻でした」

 

職場復帰後、自身の体験を社内報につづると大きな反響があった。

 

「がんを体験しても、ふだんはそのことを隠して生活している人が多いんだと改めて知りました。だったら、そんな人が気軽に集まれる場所を作ろうと思ったんです」

 

’16年2月、「ハッピーライフ・ウィズ・キャンサー」をテーマにがんカフェがスタート。参加費用は、フリードリンク300円のみ。

 

「女性患者同士で手術後の傷を見せあったりも。いちばん知りたいことですよね。私自身、がんカフェでの体験を通じて、人生の優先順位が明確になりました」

 

がんカフェには、関東一円や京都などから参加者30人ほどが集まる。カフェのスタートからわずか2カ月後にがんの再発が見つかったが、それを機に新たに“再発転移の会”も作った。

 

「今後は“働くがん患者の会”も平日夜に開催したい。暗い表情で参加した方が、帰るときには少しだけ笑顔を取り戻している。『救われました』と言ってくれる人が1人でもいる限り、がんカフェは続けます」

 

「女性自身」2019年12月24日号 掲載

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