新型コロナウイルスの流行が止まらない。国内での感染者の数も増えるばかりで、外出はおろか、少し体調不良を感じても、病院にかかることがおっくうになるのが正直なところだ。
「病院に行かなくても症状を軽減させるためには、薬局や薬店などで処方箋なしで購入できる市販薬(OTC医薬品)の使用が必須になってきます。市販薬の効果をきちんと理解し、症状に合わせて服用することで、自分自身の健康を管理することが求められているのです」
そう語るのは医療ジャーナリストの吉澤恵理さん。軽度な不調に対しては、飲む薬を自分で選択することで、体をコントロールすべきだという。
しかし、OTC医薬品はおよそ2,500もの品目があり、ドラッグストアに行くと風邪薬だけでも大量に商品が並んでいる。“結局、どれがいちばん効くんだろう”ーー。そう悩む人は多いはずだ。
そこで本誌は、内科医・宝田美沙子先生、プライムクリニック・田嶋美裕先生、BESLI CLINIC・田中奏多先生、皮フ科かわさきかおりクリニック・川崎加織先生、みずき皮膚科クリニック・原みずき先生、ステラ耳鼻咽喉科・渡邊千寿子先生の現役女医6人に対し、「本当に飲んでいる市販薬」を症状別にアンケート調査。彼女たちが飲むものには、ほかの市販薬とは違う“選ばれる理由”があった。
■下痢に「新ビオフェルミンS」、胃もたれには「ガスター10」
「下痢症状には、腸内の善玉菌の働きをよくする『新ビオフェルミンS』を服用しています。5歳からでも飲めるので、安全性が高く、老若男女にとってよい薬といえます。ただし、整腸剤の効果は腸内細菌との相性によって効果が左右されますから、効果が表れない場合は使用をやめるようにしましょう」(内科医の宝田美沙子先生)
胃もたれを解消する薬として支持を集めたのが「ガスター10」。
「胃炎や胃潰瘍の治療として用いられる医療用『ファモチジン』と同じ成分・用量です。胃酸の分泌を抑える効果もあるので、胃酸過多による胃もたれや胸やけの症状を改善する効果が期待できます」(プライムクリニックの田嶋美裕先生)
■生理痛の解消にも「漢方薬」が活躍!
BESLI CLINICの田中奏多先生は、生理痛に「芍薬甘草湯」という漢方薬を服用しているという。
「腹痛に効く漢方薬です。顆粒なのでやや飲みにくいのが欠点ですが、『ロキソニンS』などの鎮痛薬に比べて胃に優しいという利点があります」
原先生は「血圧循環を促すことで正常に生理が起こることを助ける」効果を持つ「当帰芍薬散錠」という漢方薬を使っている。
生理痛にも、漢方薬を服用する現役医師は多いようだ。
正しい市販薬との付き合い方の基本は、「説明文書をしっかり読むこと」だと前出の吉澤さんはじめ、アンケートに答えてくれた先生たちは語る。
「『ガスター10』の説明文書には、血液や腎臓・肝臓・心臓などの病気の治療のため、医薬品を投与されている人は、服用できない旨が記述されています。このように、持病や医師からの処方箋との組み合わせによっては、市販薬が“毒”になることも。かかりつけの医師には、いま飲んでいる市販薬について、必ず報告するようにしてください」(前出・吉澤さん)
正しく使えば、“もしも”のときの強い味方になるはずだ。
「女性自身」2020年3月10日号 掲載