冬に多い“かくれ脱水”を防ぐためには「室内厚着はNG」
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寒い時季は、水分補給を忘れがち。でも、そんな冬こそこまめに水分補給する習慣をつけないと「脳梗塞」や「心筋梗塞」など、命に関わる疾病を引き起こす危険もーー!

 

「今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、オフィス内や家の中でも常時マスクをつけている人がたくさんいます。ただでさえ水分補給の回数が減るこれからの時季に、暖房の効いた乾燥した室内で長時間マスクをしていると、“冬の熱中症”ともいわれる『かくれ脱水』になる危険性があるのです」

 

こう警鐘を鳴らすのは、堺市立総合医療センター救命救急科の医師で、熱中症予防啓発ネットワーク代表の犬飼公一さん。

 

記録的な猛暑となった今夏、マスク着用による熱中症の危険性がたびたび指摘された。いまだに続く“マスク生活”だが、今年の冬は「かくれ脱水」に注意しなければならないという。

 

「マスクをすると口の中の湿度は保たれるため、口やのどの渇きを感じにくい。そのため、水分補給をする回数が減りやすい傾向にあるのです。しかし、たとえばオフィスなど空気が乾燥している環境にいると、『不感蒸泄』(口や皮膚からの、目に見えない水分の蒸発)が盛んになります。蒸発する水分量は通常で、1キログラムあたり約1日15ミリリットル。体重60キログラムの人の場合、約900ミリリットルの水分が、知らず知らずのうちに失われているのです」

 

夏であれば、汗で水分が失われたぶん、水分補給をしようという意識が生まれる。しかし、冬場は暖房が効いていても汗をかかない場合が多いので、水分補給の意識づけがないことも脱水が起こる要因だと犬飼さんは続ける。

 

「冬場に『かくれ脱水』で病院に搬送される人は非常に多いです。『かくれ脱水』になると、血液の巡りが悪くなり、脳梗塞、心筋梗塞が起きやすくなるといわれています」

 

では、冬のマスク生活で、「かくれ脱水」にならないためにはどうすべきか。犬飼さんにアドバイスしてもらった。

 

■水分補給はいつもより多く

 

「理想の水分摂取量は、常温のミネラルウオーター1日1リットルです。春や秋の気候のよいとき、平常時にふだん飲んでいる量に追加して飲んでいただくのがいいと思います。いちばんいいのは白湯ですが、お茶でもいいです。ただし、お茶は利尿作用が働くので、飲みすぎには注意してください。ふだんオフィスで、500ミリリットルのペットボトルを1本飲む人なら、冬場は追加でもう1本飲む感覚で」

 

■室内温度は24~26度に

 

「明確なエビデンスはないものの、当ネットワークは、冬場の室温設定について24~26度程度が理想と考えております。その理由は、体表の温度が32度を超えてくると不感蒸泄が増えてくるのですが、上記の温度であれば、手足の温度などは32度を超えることが少ないと推測されるためです。室内が乾燥しないように、加湿器をじょうずに使うことも心がけてください」

 

■できるだけ厚着をしない

 

「体温が上がると不感蒸泄の量が増えます。室内では軽めの服装で過ごすようにしましょう」

 

■筋肉量を落とさない

 

「今年は外出自粛の生活が長く続いたことから、筋肉量が落ちている人も多いと思われます。筋肉には多くの水分が保持されているので、今年は例年よりも体の水分量が減っていると考えたほうがいいでしょう。つまり、そのぶん『かくれ脱水』になりやすいのです。筋肉量を落とさないためには、ストレッチやウオーキングなど、無理のない範囲での運動を習慣的に行うことが重要です」

 

また、寒い脱衣所で着替えた後、温かい湯船につかったりするなど、気温の急激な変化によって起こる「ヒートショック」も、熱中症の病態の一部だそう。

 

「冬場でいちばん危険なのが、お風呂やサウナに入るとき。42度のお湯に全身がつかると、10分間で1度体温が上昇するといわれています。仮に30分つかると、体温は40度に達し、熱中症の危険ラインを越えます」

 

80~90度のサウナの場合、20分で体温が40度を超えるそうだ。

 

「日中、暖房が効いている室内で、水分を補給せずにマスクをしていると、脱水は進行します。その状態のままで長く風呂に入ると、脱水が急激に進行するため、熱中症になりやすい。湯船で体を温めたい冬だからこそ、くれぐれも水分補給は怠らないようにしてください」

 

冬でも熱中症になるーー。その事実と対策を常に頭に入れて、コロナ禍の冬を過ごそう。

 

「女性自身」2020年11月24日号 掲載

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