年1万9千人が死亡 冬に多いヒートショックを防ぐ入浴法
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「長引くコロナ禍において、免疫力を高め、気分転換を図るためにも、バスタイムを有効活用しましょう。シャワーだけで済ませるのではなく、お湯をはった湯船にきちんと浸かることで、心と体にたくさんのメリットが得られます」

 

温泉療法専門医で東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉先生はそう話す。早坂先生は入浴の健康効果を20年にわたり研究している入浴法のエキスパートだ。

 

人間には自律神経があり、アクティブモードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」がバランスを取って人間を生かしてくれている。衣服を身に着けない浴室では、心と体が解放的になりやすい。プライベートな密室空間にいることで、気持ちが落ち着き、気分転換も図れる。

 

しかも、水中では体重が約10分の1になるため、入浴での浮力作用により重力から解放される。筋肉や関節の緊張が緩めば、さらにリラックスして副交感神経が優位になるのだ。

 

「このように、自律神経に働きかけるという点は、瞑想法の一つで企業などでも導入されている『マインドフルネス』に通ずるところがあります。深い呼吸をしながら心身をリラックスさせ、自律神経を整え、ストレス解消などの効果が得られるマインドフルネスを入浴のシーンに取り入れる、いわば『マインドフロ(風呂)ネス』として私は入浴習慣をおすすめしています」

 

副交感神経が活発に働きだすと、昼間に交感神経が活発化して酷使された心身の機能を修復してくれる。さらに、副交感神経が優位だと、血管が拡張して血流が促進される。その結果、免疫力がアップするのだ。感染拡大が予断を許さない状況の新型コロナウイルス対策としてもぜひ取り入れたい。

 

これからの季節に向けておさえておきたいのが「ヒートショック」の予防。入浴で亡くなる人は年間約1万9,000人で、その数は冬に圧倒的に多い。寒い季節、入浴の際の急な温度差が体に刺激を与え、血圧が急上昇し脳卒中や心筋梗塞などのトラブルを招くのがヒートショックだ。入浴中に意識がなくなると、溺れて命に関わる危険性も高くなる。

 

【ヒートショックを防ぐために! 入浴前後の注意点】

・脱衣所とリビングの温度差を5度以内に
・シャワーをかけ流して浴室の室温を上げておく
・食事の前後30分は入浴を控える
・酔っているときは入浴しない
・コップ1〜2杯の水を飲む

 

入浴前には、脱衣所とリビングの温度差を5度以内にしておくこと。同時に湯船のフタを開けておいたり、シャワーをかけ流すなどして、浴室内の温度も上げておこう。食事の前後30分の入浴は、消化機能を妨げるため、避けるのがベター。血圧が下がる状態になりがちな酔っているときも入浴は控えよう。そしてコップ1〜2杯の水分を取ってから入浴しよう。

 

「湯船に入る際は、心臓から遠い手足からかけ湯をしましょう。お湯の温度は38〜40度で、10〜15分浸かること。肩まで浸かる全身浴がおすすめです。高すぎる湯温は体を緊張させ、血圧が上がってしまいます。また15分以上入浴すると脱水症状に陥るリスクがあるので、湯船に入っている時間は15分以内にとどめてください」

 

残念ながら、入浴でのカロリー消費は安静時とあまり変わりない。実は、温度差による体の生理機能により汗が出るだけで、ヤセるわけではない。その汗に老廃物が含まれているわけでもないため、デトックス効果もない。ダイエットのために長時間半身浴をする人もいるが、血流改善などの健康効果が半減してしまうため、肩まで浸かる全身浴にしよう。

 

「女性自身」2020年12月15日号 掲載

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