「関節痛の原因は、必ずしも痛む部位にあるわけではないんです」
そう語るのは、6万人の関節痛を解消してきた、お茶の水整形外科 機能リハビリテーションクリニックの銅冶英雄名誉院長だ。
「ひざ痛に悩む患者さんの5割は、じつは腰椎が関係しています。腰椎の椎間板がずれることで、ひざにつながる神経を圧迫してしまい、ひざが痛むのです。この場合、いくらひざのストレッチをしても根治にはいたりません……。しかし、痛みのもとに合った体操を行えば、ひざ痛は改善できます」
銅冶先生によると、腰椎の次に多いのは、関節のゆがみや軟骨のすり減りなどひざ関節それ自体に原因がある場合で、患者の4割を占めるという。残る1割弱は、ひざの皿や周辺の筋肉由来の痛みだ。
そこで今回は、ひざ痛の9割を占める、腰椎とひざ関節由来のひざ痛を改善する体操を教わった。
「まずは痛みナビ診断で、痛みの原因を探します。Aから順番に体操を行い“痛みが和らぐ動き”を見つけましょう。痛みが和らいでいるというのは、その部位のズレやゆがみが正されているということです。和らぐ動きが見つかったら、その動きをもとにした“痛みナビ体操”を行ってゆがみを修正していきます」
■ステップ1「自分の痛みの原因を知る“痛みナビ診断”」順番に体操をして痛みが和らぐ動きを見つけだそう!
Aからはじめ、Aで痛みが改善しないようならBへ、Bで痛みが改善しなければCへ……と行っていく。痛みの強さが弱くなる、痛みの範囲が小さくなる、動きやすくなるなどに当てはまれば、ステップ2に進もう。
〈やってはいけない人〉
・転倒や捻挫後である → 骨折や靱帯損傷の可能性があるため(治った後であれば体操をしてもよい)
・皮膚に赤みがある → 感染症の可能性があるため
・ひざに腫瘍がある → 悪化する可能性があるため
【A】腰を反らしてチェック
両足を肩幅に開いて立つ。両手を腰に当てて体を後ろに反らす。10回繰り返す。痛みが改善したらステップ2の「壁ドン反らし体操」を。痛みが改善しないようなら【B】へ。
【B】腰を曲げてチェック
両足を肩幅に開いて立つ。両手の力を抜いて体を前に曲げていく。10回繰り返す。痛みが改善したらステップ2の「壁ドンおじぎ体操」を。痛みが改善しないようなら【C】へ。
【C】ひざを伸ばしてチェック
両足を少し開いて立ち、両手をひざに当て、ひざを少し落としてからひざを伸ばす。10回繰り返す。痛みが改善したらステップ2の「ひざ伸ばし体操」を。痛みが改善しないようなら【D】へ。
【D】ひざを曲げてチェック
両足を少し開いて立ち、両手をひざに当てて、腰を少し落としてひざをさらに曲げていく。10回繰り返す。痛みが改善したらステップ2の「ひざ曲げ体操」を。