画像を見る

年齢とともに、足のトラブルに悩む人が増えている。

 

「実際、私が診察をするなかでも50歳を境に『足』の不具合を訴える方はグッと増えてきます」

 

そう語るのは、『“歩く力”を落とさない! 新しい「足」のトリセツ』(日経BP)著者の1人で、下北沢病院の菊池守院長。

 

「足の裏というのは、その小さな面積に全ての体重がかかるので、なんらかのトラブルが生じると、途端に歩行しづらくなります。普通に生活していても1日5,000〜6,000歩は歩くわけですから、歩行に支障を来すと、日常生活に及ぶ影響は計り知れません」

 

何もケアをしなければ「足の耐用年数」はおよそ50年。また、加齢とともに歩く機能が衰えてしまうと、要介護状態になるのも早くなるという。

 

「人生100年時代、健康寿命を延ばすためには、早めに足のセルフケアに取り組み、いつまでも自分の足で歩けるようにしておくことが重要です」

 

とはいえ、すでに足にトラブルを抱えている人も多いはず。そこで50代からの「足のトリセツ」を紹介。トラブルの原因と解決法をチェックしよう!

 

【ふくらはぎのトラブル】

 

「就寝中に脚がつって飛び起きることがよくあり、寝不足になって困っています。特に、すねがつったときはどうにもならないので痛い部分をもんだり、伸ばしたりして治まるのを待つしかなく、かなりつらいです」(50代・女性)

 

こんな声が人ごとではない人も多いのでは。中高年以降、とりわけ女性の間で急増してくるのが「ふくらはぎ」のトラブルだ。脚がつる「有痛性筋けいれん」は「こむら返り」などとも呼ばれるが、高齢になるほど就寝中にこの症状に悩まされる人が増えてくるという。

 

「脚がつる原因は、脚の冷え、筋肉の疲労や硬化のほかに、脱水、下肢静脈瘤、マグネシウムなどのミネラル不足など、じつに多くのものが考えられます。血行が悪くなると血管が収縮しますし、脱水は筋肉の収縮を招きます。筋肉の疲労や硬化、下肢静脈瘤は、筋肉の血流悪化による疲労物質の蓄積につながり、けいれんを起こしやすくします。さらには、マグネシウムの摂取量が不足すると筋肉がけいれんしやすくなるともいわれています」

 

このように、さまざまな要因から起こる「脚のつり」を防ぐためには、思い当たるそれぞれの要因を改善していこう。

 

たとえば「冷え」の自覚がある人は、レッグウオーマーなどでふくらはぎを温めたり、ふだんからあまり水分を取らないような人は、寝る前にコップ1杯の水を飲むように心がけたり。筋肉の疲労や硬さを感じている人なら、就寝前の「アキレス腱伸ばし」のストレッチも効果的だ。

 

「日中、脚がむくんでいる人は、脚に溜まった水分(リンパ液や血液)が、寝ている間に脚から移動するために脚がつるのではないかと考えられています。医療用の弾性ストッキングを昼間に着用すると、慢性的なむくみを取り、寝ているときに脚がつるのを解消できるでしょう」

 

もちろん食事も重要。マグネシウムが多く含まれるヒジキ、ナッツ類、大豆、魚介類、チーズなどを選んで食べるようにしよう。また、漢方薬の「芍薬甘草湯」は即効性があるので、つったときの対処法として役立つという。

 

■ふくらはぎに浮き出た血管は下肢静脈瘤のサイン

 

「ふくらはぎに血管が浮き出て、目立ってきました。脚がだるいとか、むくみはあまり感じないのですが、見た目が気になります」(50代・女性)

 

脚の血管の病気は動脈と静脈で異なり、下肢静脈瘤は脚の静脈弁が壊れることで起こる。

 

「静脈内には、血液の逆流を防ぐハの字型の『静脈弁』がついているのですが、この弁が壊れて血液が一部に溜まることでコブのようになるのです。軽度ならうっすら血管が見える程度ですが、進行するにつれて血管がコブのようにボコボコ浮き出てきます。ただ、症状としては、脚のだるさやむくみを感じる程度なので、はっきりした自覚がないうちにどんどん進行してしまいがちです」

 

下肢静脈瘤は多くの人に起きて、30〜49歳の55%、50〜69歳の61%、70歳以上の75%に静脈瘤ができていたという報告もあった。特に、出産経験のある女性の2人に1人が発症しているという調査結果もある。

 

一度壊れた静脈弁は元に戻らないので、下肢静脈瘤の悪化を防ぐには、やはりこまめなセルフケアがおすすめだという。

 

「今日は座っている時間が長かったなと感じたら、脚を上げて休んでみましょう。また、日ごろの歩き方では、ふくらはぎを意識してみてください。かかとを上げて、親指でしっかりと地面を蹴り出すようにするといいですよ」

 

「女性自身」2021年3月16日号 掲載

【関連画像】

関連カテゴリー: