「ハーブというと、美容やリラクゼーションに使うもの……そんなイメージがありませんか? しかし、西洋ではハーブは薬としても使われています。古くから、病気になると身の回りのハーブで自らを癒してきた歴史があり、現在でもドイツやイギリスでは、薬局に処方用のドライハーブが並び、多くの人に愛用されているのです」
そう語るのは保健医療学の博士で、薬剤師の酒井美佐子さん。水戸中央病院で医療技術部部長として勤務する酒井さんは、カナダとアメリカの大学で学んだ医療用ハーブの知見をもとに、ハーブを取り入れた自然療法を行ってきた。
香りを嗅いだり、お茶を飲んだりすることでリラックスはできそうだが、そもそも不調を改善する効果はあるのだろうか……?
「現在使われている医薬品の4分の1は、ハーブに由来するといわれています。紀元前5世紀には、医学・薬学の祖であるヒポクラテスによって、およそ400種類のハーブを煮出した汁が医療に使われていたとの記録も。19世紀になるとハーブから特定の成分を取り出したものが、さまざまな医薬品に応用されるようになりました」
たとえば鎮痛剤として使われるアスピリンは、1899年にセイヨウシロヤナギから抽出されたサリシンを元に合成したもの。
「実際に海外では、現在もハーブが医薬品として用いられています。ドイツでは、日本の厚生労働省にあたるドイツ連邦保健庁の専門委員会であるコミッションEが、医薬品としてハーブを利用する場合の安全性と効果を評価。ハーブを医薬品として承認しています」
そこで、酒井さんに比較的入手しやすく、かつ、不調改善の効果が期待できるハーブを紹介してもらった。これらのハーブは、デパートなどに入るハーブ専門店や、輸入食品店などで購入することができる。