1時間以上の昼寝で「認知症リスク」が40%アップ 正しい寝方を医師が解説
画像を見る 昨年には認知症議連が設立された(写真:共同通信)

 

■30分以内の昼寝には認知症予防の効果も

 

一方で、一定時間内の昼寝は、認知機能の低下リスクを下げるという興味深い研究結果も。昨年8月に論文を発表した、新潟大学大学院医歯学総合研究科環境予防医学分野の中村和利さんが解説する。

 

「新潟県に住む65歳以上の高齢者で、認知機能に問題がなかった約500人を5年間追跡調査しました。最終的にデータが出そろった389人のうち、106人に認知機能の低下が認められました。性別や喫煙、飲酒、基礎疾患などの影響を除いたところ、30分未満の昼寝習慣がある人は、昼寝習慣のない人などと比べて、認知機能の低下が起こりにくかったのです。因果関係は未解明ですが、動物実験では、短時間の睡眠によって、認知症の原因となる脳内のアミロイドβが除去されたという研究結果もあります」

 

認知症のリスクを考慮すると、習慣的に昼寝をする場合1時間以上は危険、30分以内なら安全、ということになりそうだ。

 

さらに30分以内の昼寝は、認知症予防だけでなく午後のパフォーマンス向上にもつながるという。

 

「私も毎日、午前と午後の診療の合間に20分ほど昼寝をします」

 

そう語るのは『阪野クリニック』(岐阜県)院長で、日本睡眠学会認定医の阪野勝久さんだ。

 

「近年はスマホやタブレットをベッドに持ち込み、眠る直前まで強い光を見ることで、睡眠の質が落ちたり、睡眠不足になる人も多いです。本来、必要な睡眠時間より20分、30分足りなくなった状態が2週間ほど続くと“睡眠負債”がたまってしまい、集中力を欠いたり、いつも眠かったり、抑うつ状態になってイライラしたりします。そんな睡眠負債を“返済”するためにも、昼寝は有効なのです」

 

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