「冬って汗かかないはずなのに、夏より体がくさい気がする……」
「帰宅してコートを脱いだらツーンときた。もしかして加齢臭?」
むせかえる汗の臭いが気になるのは、もちろん夏が多いはず。
でも考えてみれば冬も、暖房の効いた室内に厚着でいたりすると、腋汗が気になるなんて経験も……。
「冬の汗がくさくないなんてことはありません。じつは、冬の汗臭こそ要注意なんです」
こう話すのは、著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)などがある内科医で、ニオイ評論家の桐村里紗さん。
「気温が低い冬のほうが、汗の絶対量は少ないです。でも逆に、かく汗の質が、冬はベタベタして臭いやすくなるんです」
さっそくビックリな情報を披露する桐村さんに、汗と臭いのメカニズムから解説してもらう。
「汗は、おもに体温調節の目的で、全身に350万もあるエクリン汗腺から出ています。たくさん汗をかく夏は、汗に含まれるミネラルなどの栄養分は体が再吸収するため、水分量が多いさらさら汗になるのですが、汗をかきにくい冬はこの再吸収の機能が低下するため、出た汗が栄養分を含んだまま、ベタベタになってしまうのです」
そのうえ、皮膚表面に存在する常在菌が、そのベタベタ汗に含まれるミネラルなどの栄養分を餌として食べるという。
「常在菌が餌として分解した栄養分から、酢酸、酪酸、イソ吉草酸などの臭い成分が発生します。つまり、病原菌やウイルスから皮膚を守る役割がある常在菌は重要ですが、体臭の原因にもなりやすいんです」