「昨年、タレントの高見知佳さん(享年60)が急逝しましたが、子宮がんが疑われ、判明したときは、すでにステージ4。さらに大腸や卵巣、肺、脳や骨など全身の臓器に転移していたそうです。病気判明の直前まで、参議院選の選挙活動をしており、落選後も地元の市議会議員選も見据えていたということですから、死の直前まで、病気の自覚がほとんどなかったのでしょう」(芸能記者)
これほどまでに、がんは静かに全身を蝕んでしまう。だからこそ、無症状のうちから定期的にがん検診を受診することが大切だ。しかしコロナ禍の今、がん検診の受診控えが懸念されている。
’17年から’19年度までの3年間のがん検診平均受診者数と、’20年度のがん検診受診者数を厚生労働省のデータをもとに共同通信が比べたところ、胃がん検診は214万人から141万人、大腸がんが357万人から279万人など、軒並み2~3割ほど減っているというのだ(画像参照)。
常磐病院(福島県)の医師・尾崎章彦さんが語る。
「東日本大震災の際も、直後からがん検診の受診率が下がり、元の水準に戻るまでには5年ほどかかりました。しかし、当たり前のことですが、受診が遅れるほど、がんは進行するのです」
がんからの生還は早期発見が必須だが、気になるのは検診費用だ。
「任意で行うがん検診は医療保険が使えず、全額自己負担となってしまいます。しかし、自治体で行っている検診を利用すれば、全体的に安価に受けることができます」
がん検診の案内は、居住している市町村からはがきなどで届く。そこに書いてある電話番号や医療機関に問い合わせると、自治体が行う検診を受けることができる。日本医師会のホームページにも、全国の「福祉課」や「健康推進係」など該当の窓口につながる電話番号が載っている。調べてみよう。
また、がん検診の頻度や対象年齢は厚労省が指針を定めている。そのため、各自治体によって差異はあるものの、好きなタイミングで何度でも安価に検査できるわけではないことが多いので要注意だ。
がんの種類ごとに、おすすめの検査や費用を解説してもらった(※各がん検診の自己負担額は医療機関や自治体により制度・金額はさまざま〈編集部調べ〉)。
【肺がん】
〈X線〉自費:2000~3000円/自治体など(目安):無料~300円
〈CT〉自費:1万~3万円/自治体など(目安):3000~5000円
厚労省の指針によると、肺がんの検診は年に1回、40歳以上に推奨されている。
「X線検査が一般的な肺がん検診です。さらに、より確実に早期の肺がんを発見できるのは、CT検査。喫煙経験があるなど、リスクが高い人には選択肢の一つです」
アメリカの調査で、X線よりもCT検査を受けた人のほうが、肺がんによる死亡率が約20%低くなるというデータもある。