「梅雨の時季は、むくみやすいんです。気温が上昇して水分補給が増えますし、湿気が多くなると、汗以外に皮膚などから水分が自然に蒸発する『不感 蒸泄』がうまくいかず、体内に水分が溜まりやすくなるためです」
そう教えてくれるのは、漢方医学や食事療法などによる診療を行うイシハラクリニック副院長の石原新菜先生だ。すでに夏日になる日もあるが、冷房が効いた空間に長時間いると体が冷え、血流が滞ることで、さらにむくみの原因となる。
「むくみは、体内の水分や老廃物を回収する静脈の毛細血管とリンパ管の流れが悪くなることで起こります。細胞の間に水分が残ってしまうんです」
最近ではマスクを外す機会が多くなり、“顔のむくみが気になる”と悩みを訴える女性も増えているという。
「むくみが起こりやすいのは、心臓から遠く、水分が重力で下に溜まる箇所。ふくらはぎや足首です。そんな中、顔が最もむくむのは起床時。体を横にした状態で水分がまんべんなく全身に行き渡り、顔にも水分が溜まるからです。通常は、半日ほどで収まるのですが、不感蒸泄不良や血行不良で、むくんだままという人がこの時季から増えてきます」(石原先生)
■女性ホルモン減少と筋肉量の低下も原因
とくに、50代以降になると代謝が落ち、むくみに拍車がかかる。
「閉経や更年期などの関係で女性ホルモンが減少するのが、この年代。代謝をコントロールするホルモンでもあるため、減ることで本来排出されるべき余分な水分を溜め込んでしまいます。また年齢とともに筋肉量が落ち、頰やあご、まぶたなどの筋肉がたるむと、その間に水が溜まって、しもぶくれやまぶたが腫れぼったい状態になるのです」
むくみ対策のためには、塩分を控え、血流の巡りを改善するマッサージや軽い運動が効果的。あわせて石原先生が提案するのが「皮ごとレモン」だ。
「いま、レモンの研究が進んでいるのですが、サッポロホールディングスの研究で、レモンにはむくみ低減効果があることが判明しています。その成分とは、レモンに含まれるポリフェノールの一種である『ヘスペリジン』。腎臓でナトリウム(塩分)調整を行う働きがあり、ナトリウムと水分は一緒に動くため、排尿を促し、水分が体に貯留されにくくなります。さらに、血管を広げ、血流を促進する作用もあるんです」
その研究では、顔のむくみが気になる男女を対象に、半数はヘスペリジンを含む被験食品、もう半数にはプラセボ(偽食品)を2週間摂取してもらった。ヘスペリジンを摂取したグループは、顔の体積の減りが確認され、一時的に自覚する顔のむくみが改善した。
「ヘスペリジンは、皮の白いワタの部分に多く含まれているため、むくみ対策のためには、果汁だけよりも皮ごと食べたほうが効果的です」
苦い皮ごと食べるのは、ハードルが高そう……。
「食べやすいのは『はちみつ漬け』です。そのまま食べたり、小さく切って料理や飲み物にプラスするのがおすすめです」
さらに、塩漬けにしても料理に取り入れやすくなる。
「自然に尿の排出量が増え、血流改善になるので、毎日こまめに食べるのがいいでしょう」(石原先生)
そこで、料理研究家の白井ありささんに、皮ごとレモンをおいしく食べられるレシピを教えてもらった。