■男性の乳がん 発症する年代は? 治療法は?
コーンが《寝耳に水》《男性では本当に珍しい》という“男性乳がん”だが、厚生労働省の集計によれば、2019年に乳がんと診断された男性は670人で、女性の97,142人のわずか0.7%ほど。微増傾向ではあるが毎年600人台と罹患数が少ないため認知度が低く、発見が遅れるケースも多いという。
たかはし乳腺消化器クリニックの孝橋慶一院長は、“男性乳がん”について次のように解説する(以下、カッコ内は全て孝橋院長)。
「男性にも少ないですが乳腺はあるため、乳がんは発生します。男性乳がんは、乳がん全体の0.6~1%を占めると言われています。60~70代の男性に多く、発症時の年齢が女性の乳がんよりも10歳程度高齢であることが特徴です。多くは乳頭付近に発生します」
発症する要因は様々で具体的には解明されていないとした上で、いくつか指摘されている危険因子もあるという。
「ひとつは、特定の遺伝子の変異がある場合です。ただ、その遺伝子の変異がない人でも男性乳がんになる方もいらっしゃるので、それだけが原因ではありません。乳がんになった人の中で、女性よりはその変異を持った男性が多いということです。女性の場合は5-10%前後ですが、男性はその約2倍近くみられると言われています。
また、わかりやすい要因は家族歴です。身内に乳がんの人がいる場合、発症するリスクも高まります」
診断や治療方法は女性とほとんど変わらないという。
「手術による乳房切除、放射線療法、抗がん剤治療、ホルモン療法、分子標的治療が、がんのステ-ジによる進行度やがんの種類により選択されます。
ステージ2ということであれば、腫瘍サイズがやや大きいかリンパ節などに転移していた可能性が考えられ、一般的な抗がん剤の対象になります。男性の場合は女性よりもホルモン感受性が高いためホルモン療法が効く場合が多く、抗がん剤治療が終わってからおそらくホルモン療法になると思います」