■GPSを無料で貸し出してくれる自治体もある
全国の自治体でもGPS端末の貸し出しをしているところはある。
2015年からGPS端末を“無料”で貸し出している群馬県高崎市では、GPS端末を靴やカバン、衣服などに付けた高齢者が所在不明になったときに、介護者(家族など)が見守りセンターに連絡すれば、365日24時間の対応で捜索し、位置情報を介護者の携帯電話などに送信してくれる。
介護者が捜索・保護ができない場合でも、見守りセンター職員や警察が代行してくれるそうだ。
このようなサービスを行う自治体は全国にいくつもあるが、基本的に月額の利用料などがかかるケースが多い。もし、自分の親が徘徊する可能性がある場合は、親が住む自治体に、どのような見守りサービスがあるかどうか、まずは問い合わせてみることだ。
GPSの活用以外にも、認知症などの行方不明者対策で注目されているのがQRコードだ。
高齢者の衣服やカバン、杖などに貼られたシールのQRコードをスマホで読み取ると、事前に登録している家族や関係者に、発見を知らせるメールが自動的に送られるというサービスである。
医薬品卸売業などを展開する、東邦ホールディングスが開発した「どこシル伝言板」だ。
すでにこのサービスは、千葉県千葉市、福井県福井市など、全国323市区町村(6月30日時点)で導入されており、今後、県内すべての自治体に導入を決めている県もあるという。
「QRコードを読み取った人の画面には、事前に登録されている身体的特徴や話しかける際の注意点などが表示される仕組みとなっており、発見者側の対応にも一役かっています。
そして発見者と家族が、専用の伝言板で、保護した場所や状況確認などを、匿名でやり取りができ、セキュリティも万全です」
こう語るのは、東邦ホールディングスグループ・東邦薬品 営業戦略本部の植田元気さん。
このシステムを導入している自治体は、登録申請をした家族に、アイロンで衣類などに貼り付ける耐洗ラベル20~40枚、ナイロン素材や杖などに貼る蓄光シール10枚の組み合わせを無料で配布している。
年々、認知症の行方不明者が増えていくなか、これらの対策は、積極的に利用すべき。同時に、介護とは無縁の人たちも、QRコードが付いたシールを貼った高齢者を見つけたら手助けをする。そういう周知啓発も必要だ!
※本文中の事例は、アーバンテックから提供