乳がんに罹患していることを公表した梅宮アンナ 画像を見る

乳がんのなかでも5%という比較的少ない“浸潤性小葉がん”のステージ3Aであることを告白したタレントの梅宮アンナ(52)。抗がん剤治療で進行を止め、そのあと乳房切除の手術を受けるという。

 

毎年、人間ドックを受けていたにもかかわらず、今年5月下旬に「片方の乳房が小さくなった」ことで初めて異変を感じたアンナ。マンモグラフィーやエコー、MRI検査などを受けるも、はっきりした異常が見つからず、組織の一部を検査する組織診をして、ようやくがんと診断された。

 

女性がかかる“がん”でいちばん多い乳がん。だが、毎年、人間ドックを受けていた彼女が、なぜ早期発見にいたらなかったのか。

 

「アンナさんが罹り患かんした浸潤性小葉がんは、授乳期に母乳をつくる小葉という部分にできる乳がんです。このタイプは、明確な“しこり”をつくらず、エコーやマンモグラフィーでは見つけにくい特徴があります。彼女のように乳房全体が硬く縮んではじめて異常に気づくことが少なくありません」

 

そう解説するのは、これまで4500人以上の乳がん患者の手術を行ってきた虎の門病院(東京都)乳腺・内分泌外科・部長の川端英孝さん。

 

一般的に多いのは乳管にできる乳がんだが、このタイプでも、しこりをつくらず増殖するケースもあり、そうなると検査で見つけにくいことも多い。こうした見落とされやすいタイプの乳がんでも、早期発見する方法はあるのだろうか。

 

川端さんは、「造影剤を点滴しながら行う“造影MRI”検査が最も感度が高い」としたうえで、“症状がない人がやみくもに受けるのには注意が必要だ”、と続ける。

 

「検査にはメリット、デメリットがあり、造影MRI検査を受けることで、まれにアレルギー反応のアナフィラキシーショックが生じて重篤な症状になる方もいます。また、感度が高い半面、変化を病変として指摘してしまうことが多く、再検査が必要になり、心の負担になることも。造影MRIを検診に取り入れる場合は、ご自身が乳がんの“ハイリスク”群かどうか、確認してから受けるのが望ましいでしょう」

 

現在、ハイリスクとされているのが“遺伝性乳がん卵巣がん”(以下、HBOC)だ。2013年に米国の女優のアンジェリーナ・ジョリーがHBOCであることを公表。予防的に乳房の切除手術をしたことで話題を呼んだ。

 

「乳がん患者の5~10%、一般的に200?500人に1人がHBOCに該当するといわれています」

 

そう明かすのは、NPO法人乳がん画像診断ネットワークの理事長で、相良病院(鹿児島県)放射線科主任部長の戸崎光宏さん。がん抑制遺伝子のBRCA1、BRCA2いずれかに変異があると、50歳までで16~25倍、70歳までで8~12倍にがん発症率が高まるというデータがあるという。

 

とくに、検査をすり抜けやすいのがBRCA1に変異がある場合。

 

「BRCA1に変異があると、半年に3センチとか急激にがんが大きくなることがあります。つまり、毎年検診を受けていても、検診と検診の間にがんができて大きくなってしまうのです。こうしたハイリスクの方は、小さな病変も見逃さない造影MRI検査が適しています。海外のガイドラインでは、BRCA1の方には半年に一度の造影MRIが推奨されているのです」(戸崎さん)

 

心配な方は、HBOCの遺伝子カウンセリングを受けてみよう。

 

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