■電車を止めたとして高額な損賠賠償を請求されるケース
認知症保険のもうひとつタイプが『損保型』だ。
「認知症をもった人が他人のものを壊したり、他人を傷つけた場合の損害を補償するものです。2007年に愛知県のJR線で91歳の認知症を患った男性が線路に立ち入り、電車にはねられ死亡する事故が発生。
鉄道会社から介護していた妻と別居していた長男に対して多額の損害賠償が請求されました。この事件がきっかけとなり『損保型』の認知症保険が生まれました」
「損保型」の認知症保険も多種多彩。
東京海上日動の「認知症あんしんプラン」は、月額1,370円で、行方不明時の捜索費用のほか、線路内の立ち入りによって電車を運行不能にした場合の賠償費用など最大1億円まで補償する。
また離れて暮らす両親が起こした賠償事故にも備えられるのがあいおいニッセイ同和損保の個人賠償責任保険「まるごとマモル」。年額1,9900円と安い保険料で注目を集めている。
とはいえ、認知症トラブルに備えるためにと焦って加入するのは早計だという。
「火災保険や自動車保険、傷害保険などに加入していると、他人に危害を加えたり、物を壊したりしたときの賠償責任をカバーする『個人賠償責任保険』が特約でついていることも。
まずは自分の加入している保険の内容を確認することが先決です。
また、住んでいる地域によっては、認知症を患っている高齢者向けの個人賠償責任保険に入れるところもあります。
補償される金額や内容は自治体ごとに異なりますが、どのような保険が利用できるか、認知症保険に加入する前に調べてみるといいでしょう」
人生100年時代、認知症への不安も高まり、介護費用の心配も膨れあがる。
転ばぬ先の杖として、ぜひ認知症保険を考えてみてはどうだろう。