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日本人の死亡原因11位にもなっている間質性肺炎。なかでも、原因不明の特発性は余命宣告されてしまうことも。知らぬ間にジワジワと進行するという病魔に予防策は?

 

料理研究家の枝元なほみさんが、2月27日に69歳で亡くなっていたことがわかった。

 

3月12日付の本人のX上で「チームむかごスタッフ一同」により公表された。5年ほど前に間質性肺炎と診断されていた枝元さんは「かねてより病気療養中」だったという。

 

2023年12月に、73歳で亡くなった歌手の八代亜紀さんも、死因は急速進行性間質性肺炎と報じられていた。

 

さかのぼれば、あの美空ひばりさんも1989年、間質性肺炎による呼吸不全のため、52歳の若さで亡くなっている。

 

このように「女性が比較的若い年齢で命を落としている」印象だ。

 

“間質性肺炎”とは耳慣れないが、本誌読者(50代主婦)の75歳になる母親も、昨年12月に同病と診断されていたという。

 

「病院で『間質性肺炎です』と診断されたものの『特別な治療法はありません』と言われたそうです。

 

家に帰ってきてから、スマホで検索してみたところ『余命5年』とあってとしたといいます。

 

それ以来、母は『私も、もう長いことないわ』とすっかり意気消沈してしまっているんです」

 

間質性肺炎とは、いわゆる肺炎と、なにが違うのか。

 

前出の枝元さんも「病気療養中」だったというが、まだ治療法が見つかっていない病気なのか、薬はあるのか、ないのか……。

 

■本人も気づかないうちに症状はジワジワと進行していく

 

多摩ファミリークリニック院長の大橋博樹先生に、詳しく聞いた。

 

「間質性肺炎は、よくいう肺炎とは異なる病気です。肺炎は、肺胞という袋の中が炎症を起こしますが、間質性肺炎は、間質つまり肺胞の壁の部分が炎症を起こします。

 

すると肺自体が硬くなってしまい、酸素を取り込んで二酸化炭素を出すという肺機能が弱まってしまうんです」

 

間質性肺炎によって硬くなった肺胞は膨らみにくくなり、息苦しさや、息切れするなどの症状が出るようになる。

 

「ご本人は『加齢のせいかな』とか、『風邪が長引いているから、が止まらないんだ』と思い、受診されないことも多いです。そうして、気づかないうちに症状はジワジワと進行していくんです」(大橋先生、以下同)

 

たとえ受診しても、ぜんそくなどほかの病気と勘違いされるケースもあり、発見されずにいるうちに、気づいたときにはかなり悪化していることもあるという。

 

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