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「京都府与謝郡伊根町では’15年度より、小中学校の給食費や修学旅行費、ドリルなどの教材費を、所得にかかわらず無料にしました。保護者は体操着や筆記用具などの購入費を負担するだけになり、年6万〜14万円、出費が減りました」

 

そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。義務教育は無料といわれているが、無料なのは授業料と教科書代だけ。実際には、月3千500〜5千円の給食費(’16年1月・総務省)や修学旅行費などは保護者が負担している。子どもが多いと負担がかさむが、これらを補助する自治体が増えているという。

 

「兵庫県相生市では、’11年度より市立の幼稚園と小中学校、特別支援学校での給食費が無料になっています。幼稚園の給食費まで含めるのは全国的にも珍しく、幼稚園の保育料や小中学校のバス通学費も全額補助するなど、手厚い子育て支援を行っています」

 

ほかにも市長のリーダーシップによって、給食費無料が実現したケースも。

 

「栃木県大田原市では、現市長の津久井富雄氏が選挙公約として給食費の無償化を掲げました。当選後、東日本大震災があり実施は遅れましたが、’12年10月より小中学校の給食費を無償化。ほかの地域と比べると、年4万〜6万円、負担が軽くなっています」

 

これらの子育て支援策は地方には比較的多いものの、人口の多い政令指定都市などではあまり見られない。

 

「しかし、大阪市は今年4月から5歳児の幼稚園の保育料を無料にすると発表しました。公立幼稚園の保育料は収入によりますが、最高で月2万200円が全額免除。私立幼稚園は補助金を上乗せして実質無料。また、保育所に通う子どもには、保育料を教育費と養護費に分け、教育費部分を補助する方針です」

 

国も今年4月から、低所得世帯の第2子は保育料半額、第3子は無料にするが、それで『幼児教育の無償化拡大』というには、あまりにも手薄だ。日本の公的教育費は、経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国中、6年連続で最下位。経済大国を名乗りながら、あまりにも恥ずかしい結果(’15年版)となっている。

 

「自治体による子育て支援体制は今後も充実してほしいと思います。ですがそれ以上に、国の少子化対策や子育て支援策を、切に願っています。安倍首相がどこまで本気なのか、みなさんで見極めましょう」

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