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「新年度が始まりました。この時期は制度の新設や改定がたくさんありますが、なかでも健康な生活に欠かせない診療報酬の改定について、見ていきたいと思います」

 

こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。診療報酬とは、保険証を提示して受ける医療行為に対して国が定めた料金で、医療機関が保険制度から受け取るもの。私たちはそのうち、現役世代なら3割、小学生未満と70〜75歳は2割、一般的な所得の75歳以上は1割を自己負担している。

 

「この診療報酬は2年ごとに見直されます。今回の改定では、2つのポイントに注目したいと思います」

 

■ポイント1『大病院などの受診料』

 

「大病院はベッド数が500床以上の病院で、全国に約450あります(’14年・厚生労働省)。これらに紹介状なしで受診した場合、初診だと5,000円以上が、再診でも2,500円以上が、この診療報酬の改定によって上乗せ請求されることになりました。これまでも200床以上の病院を紹介状なしで受診すると、2,000〜5,000円の上乗せされましたが、大病院はさらに値上げされた格好です。5,000円以上ですから1万円近く請求する病院があるかもしれません」

 

目的は、大病院と町の病院の役割分担だ。大病院は重症患者の治療に専念し、軽症患者やふだんの健康管理は町の病院が担当する。これは患者にもメリットが。

 

「たとえば、胸に痛みを感じた場合。心臓の病気を心配して、大病院の循環器科を受診すると『特に異常なし』。最初の診療科で診察・検査を重ね、病名がわかるまで長時間かかることも。いっぽう、何でも相談できる町の病院で症状を説明すると、たとえば『胸の奥に痛みを感じやすい“食道がん”かも』と一時診断。紹介状を作成し、専門の病院を紹介するでしょう。紹介状は有料ですが、保険がきき、3割負担の方なら750円。大病院に行くより安く、時間も短縮できます」

 

■ポイント2『薬代』

 

「国は医療費削減を目指して、薬の重複や飲み残しを是正したい。そのために、『お薬手帳』の活用を勧めています。お薬手帳は自分が使っている薬の名前や調剤日、使用法などを記載したものこれまでは、お薬手帳にこれらを記載し説明すると『薬剤服用歴管理指導料』として410円、自己負担は120円かかりました(3割負担の方、以下同)。ところが、お薬手帳への記載がなければこの指導料は340円になり、自己負担は100円。お薬手帳を持たないほうが、薬局はアレルギーの有無や服用中の薬の確認などの手間が増えるのに、料金は安くなる矛盾があったのです」

 

そこで今回、お薬手帳を持参したほうが安くなるように改定された。

 

「具体的には4月以降、初回はお薬手帳の有無にかかわらず500円、自己負担は150円かかります。これは以前より値上げになりましたが、6カ月以内に同じ薬局にお薬手帳を持参すると380円、自己負担は110円。手帳がないと初回と同じ、自己負担は150円ですから、40円割安です」

 

誰でも病気にはかかる。国が医療費削減の名目で医療自体を悪化させないか見守りつつ、無駄な自己負担分を払わない“賢い患者”になりたいものだ。

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