image

「がんの闘病を、経済的理由で断念される方もいます。がんとお金の問題は複雑で、お金がなければ受けられない高額な治療もあります」

 

そう語るのはファイナンシャルプランナーの内田茂樹さん。内田さんはがん研有明病院で勤務する、現役の放射線技師でもある。

 

がん患者の経済的苦境を目の当たりにし、放射線技師として働きながらFPや公的保険アドバイザーなどの資格を取得、患者やその家族に社会保障をはじめとしたお金の相談などに乗っている。そこで今回、「金銭面でがんにしっかり備える方法」を伝授してもらった。

 

「まずは公的保険(国民健康保険や厚生年金保険など)と民間保険の両輪をバランスよく備えておくこと。前者は更新されていることがよくありますが、後者は契約なので、変わることはほとんどありません」

 

そのうえでまず、現在加入している保険の仕組みを把握することから始める。

 

(1)公的保険では何がカバーされるのか?

「まずがんに罹患すると、ざっくり推計して年間の医療費は100万円かかるといわれています。ほとんどの方が公的保険に加入しており、全額が自己負担になることはありません。通常、窓口負担は3割で、残りの7割は公的保険でカバーされます」

 

公的保険は窓口負担以外にかかった費用が高額になった場合、年収に応じてその上限を超えた部分は「高額療養費制度」の対象となり、差額が保険でカバーされることを覚えておきたい。

 

年収700万円世帯で試算してみると−−。この家の年齢50歳の主婦が乳がんに罹患した場合、手術や放射線治療を受けたある月の医療費合計が100万円だったとする。このとき、窓口負担は30万円に。

 

「この場合、実際の負担額は8万7,470円。これを超えた21万2,530円が高額療養費で戻ってきます。また、事前に手続きをし『限度額適用認定証』を申請すると、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることもできます」

 

ここで工夫できることとして、内田さんは次のようにアドバイスする。

 

「術後の検査や、再発予防のための服用薬の処方箋を受けるときは、月をまたいで受けとると8万7,000円を満たしません。これは、高額療養費の対象にならないので、融通がきく検査なら、同じ月に受けるという手もあります」

 

(2)民間保険にどう入るか?

「がんに罹患すると公的保険でカバーし切れない出費も多くなります。そこを備えておくことが大切なのです」

 

保険でカバーされない出費は次のとおり。

 

「たとえば抗がん剤の影響で一時的に脱毛した場合のかつらや、入院時の差額ベッド代、セカンドオピニオンや通院のための交通費など。また乳がんは、術後の経過観察が10年程度と長い通院・検査が必要になるので、これらの出費を考えると、やはり民間の保険で備えておくと、いざというとき心強いとは思います」

 

ではどんな保険が望ましいのか?

 

「いまがん保険を大別すると、『一時金』か『かかった分が保障される』かの2タイプです。どちらがよいともいえず、お好みです」