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「たとえ末期がんと診断されても、その後もずっと元気に生活していたり、治ってしまったりする方もいます」

 

そう語るのは、杉浦貴之さん(45)。彼は28歳で珍しい腎臓がんを発症し、「2年後の生存率は0%」という宣告を受けた。杉浦さんが編集長として発行する、がん闘病マガジン『メッセンジャー』は創刊11年でのべ150人の「がんサバイバー」が登場している。

 

では、がん進行の“最終ステージ”ともいわれるステージ4を克服する秘訣とはなにか?『命はそんなにやわじゃない』(かんき出版)という著書もある杉浦さんが自身の経験をふまえ、精神面での8つのメソッドを教えてくれた。

 

【「がんは死病」という思い込みをやめる】

「不安や恐怖の原因は『がん=死』というイメージですが、それは思い込みにすぎません。私は宣告を受けた後、同じ腎臓がんを治した人に会いにいったり、治った人が書いた本を熟読したりしました。それらの行動により潜在意識を『がんは治る』に書き換えることができたんです」(杉浦さん・以下同)

 

【がん治療以外の人生の目標を持つ】

「『がんを治すこと』を目標にしてしまうと人生の大半が治療に占められてしまいます。それよりも、まずは治すと決意したら、“治ったらどんな自分になりたいか”などを考え、元気になった自分を強くイメージすることが大切です」

 

【自分を受け入れ、自分の価値を認める】

「実は、かつての私も含め、がんになる人は自分に対する評価が極端に低い人が多いのです。皆さん、人に気を使いすぎたり、仕事でも家事でも頑張りすぎてしまったり、自分より他人という自己犠牲の精神が強い傾向があります。自己評価の低さは、その人をつき動かす力にもなるのですが、『まだ足りていない』という思いは、自分を苦しめ、ストレスにもなります」

 

【発症を生活改善のチャンスと思う】

「がんを乗り越えた人たちは『病気になったことは自分にとって意味がある』と、前向きにとらえている人がほとんどです。病気を“悪い出来事”とだけとらえるのではなく、がんをそれまでの思いグセや生活習慣への“警告”と受け止めているのです」

 

【情報に振り回されず、治療法は自分で決める】

「がん治療に関する情報が氾濫している時代ですが、情報に振り回されることは禁物です。治っていく方は、アロマセラピー、ヨガ、気功、鍼治療など、自分にとって“心地よい”手当てや補完療法を見つけた人も多いですね」

 

【闘病を隠さず、ほかの人に伝える】

「がんのことをカミングアウトするには葛藤があるでしょう。しかし私の周りで、がんを克服した方々は、闘病の経緯などを講演や患者サロンなどで話していることが多いですね。『自分の経験を伝えることでほかの人の役に立ちたい』。そう思ったときから、がんから解放され始めているのかもしれません」

 

【支えてくれる人への感謝を言葉にする】

「『がんを治そう』という本人の情熱は大切ですが、それを持続させてくれるのが、家族や仲間の支えです。彼らに対しては、感謝の気持ちをきちんと言葉にしましょう」

 

【あえて“死”を受け入れてみる】

「がんは死病という思い込みからは脱皮しなくてはいけませんが、死ぬことをむやみに恐れていては、逆に死にとらわれてしまいます。生への執着を捨てて、『誰もがいずれ死ぬ』と、受け入れたときに、副交感神経が優位になり、免疫力も高まるのだと思います。ステージ4を乗り越えた人のなかには終活を実際にした人もいます」

 

杉浦さんは最後にこんなアドバイスを−−。

 

「負の思いにとらわれず、未来へ向かうエネルギーに転換していくことが“がんサバイバー”になるために重要です。皆さんが考えている以上に、治っていく道は開かれていますよ。その可能性を自ら高めていってほしいです」

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