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最近の日本人の年齢は昔の「6割」になっているのではないか?――『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代』(光文社新書)を上梓したばかりの三浦展氏が、 幼児化する日本の現状を明らかにする!

 

 

最近、中学生になっても親と一緒に風呂に入る子どもがいるということが話題になりました。

 

マーケティング・ライターの牛窪恵さんが、テレビで「某有名私立男子中学では、中学2年生のクラスで約半数がママと一緒にお風呂に入っている。一般的な調査では、母親や家族と一緒に入浴する男子は小学5~6年生で約3割、中学生で2割くらい。

 

あるビジネス誌が、某有名私立男子中学で生徒を机に伏せさせ、挙手による調査を行った。

 

いくつか質問をして時間が余ったので、『ママとお風呂に入っている人』と冗談めかして訊いたら、半数が手を挙げたので先生もビックリして『手を下ろしなさい!』となった」と発言したのです。

 

逆に父親が、中学生の娘と風呂に入るとか、高校生でも一緒に入るとかいう話もあります。とにかく親子の仲がよい。よすぎるのです。牛窪さんはこれを「親ラブ」と言いますが、親が子を愛すのは当然とはいえ、「子ラブ」が強すぎませんか。親の子離れ、子どもの親離れがなさすぎます。

 

もう20年近く前、現代人の年齢は昔の八掛け、七掛けと言われていましたが、私は、もはや六掛けだ、「六掛け世代」だと提案しました。

 

つまり、今の20歳は昔の12歳、30歳は18歳、35歳で21歳、だから35歳で成人するくらいだというわけです(三浦展『新人類、親になる!』35歳成人説参照)。

 

昔は20歳を過ぎると、子どもがいる人がたくさんいましたが、今は35歳で最初の子どもができるのが普通です。14歳の中学生は8.4歳ということになるので、だったら一緒にお風呂に入るのもわかります(そうすると、18歳は11歳くらいになるので、果たして選挙権を与えていいのか?)。

 

考えてみると、私が35歳成人説を唱えたころに結婚した人が産んだ子どもが、今中学生でしょう。六掛け世代の二世ということです。

 

最近は安保法制だとか、憲法改正だとかで、いよいよ徴兵制も復活かと心配している人もいます。でも、こんなに親子がくっついていては、まず徴兵は不可能でしょう。

 

息子に徴兵が来たら、お母さんがかわりに行くと言うに違いありません。平和は大切ですが、やはり、もう少し子どもの自立を考えて子育てをするべきじゃあないでしょうか。

(引用:『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代』)

 

【PROFILE】

三浦展(みうらあつし)

1982年、一橋大学社会学部卒業。(株)パルコ入社。1986年、マーケティング情報誌「アクロス」編集長。1990年、三菱総合研究所入社。1999年、カルチャースタディーズ研究所設立。

消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。

著書に『下流社会』『東京は郊外から消えていく! 』『下流老人と幸福老人』(以上、光文社)、『第四の消費』(朝日新聞出版)、『データでわかる2030年の日本』(洋泉社)、『「家族」と「幸福」の戦後史』(講談社)、『吉祥寺スタイル』(文藝春秋)、『郊外・原発・家族』(勁草書房)他多数。近著に『東京田園モダン』(洋泉社)、『商業空間は何の夢を見たか』(平凡社)。

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