2016年大晦日に放映されたNHK紅白歌合戦ではくまモンが大活躍。演歌歌手・三山ひろしの歌唱中に乃木坂46の橋本奈々未らとけん玉を披露した。舞台裏でも松田聖子ら出場者たちから呼びかけられ、大人気だった。

 

また、昨夏のリオ五輪の閉会式では安倍首相がスーパーマリオの格好で登場し、世界を沸かせた。いまやキャラクターは子ども向けのものではなく、全世代に親しまれる存在である。

 

しかし、昨年12月に発売された『売れるキャラクター戦略―“即死”“ゾンビ化”させない―』(光文社・いとうとしこ著)によると、「キャラクターは短命が多い」という。

 

ほとんどのキャラクターは生成されるや否や、淘汰され、消費されてしまう。キャラクターを生み出すことまでで精一杯で、生まれた後に育てることまでは考えられていない。そういったものはたいてい作られたあとに放置され、ホームページの隅っこに小さく載っているだけになるという。そういうキャラクターの状態を“ゾンビ化”と呼ぶ。

 

いとう氏は広告代理店のクリエイティブディレクターとして「コアラのマーチ」のCMを20年以上担当していた。

 

いまやおなじみの「コアラのマーチ」のキャラクターはCMで有名になり、世界各国でも愛されている。いとう氏がCMを担当するようになった当時、「『コアラのマーチ』のコアラ」は「キャラクター」といえる状態ではなかった。そこでコアラのマーチのキャラクターに名前を付け、それ以外にもプロフィールを作り、身近な存在にしようと考えた。以下はその一部である。

 

・名前=コアラのマーチくん

・性別=男の子

・想定年齢=人間に換算して9歳くらい(推定)

・性格=ほのぼの、のんき。自然と友だちを愛するやさしい性格。やや天然。

・好きな言葉=のほほん

・趣味=散歩。雲の観察。

 

このような人間味のあるバックボーンがあって初めて、キャラクターは人間と「友達」になれるのだという。また、こういう「プロフィール設定」をはじめに決めておくことにより、担当者が変わっても、海外展開しても、ブレのないキャラクターに育てることができるのだ。

 

ブームを超えて定着したいわれるキャラクター市場。成功しているキャラクターたちには共通する秘訣があった。

 

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『売れるキャラクター戦略―“即死”“ゾンビ化させない”―』は光文社より発売中(税込799円)

 

 

著者と木暮太一さん(作家、一般社団法人教育コミュニケーション協会代表理事)によるトークイベントが開催!

1月10日(火)午後7時より、八重洲ブックセンター本店にて。

詳細は下記URLに。

http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/11053/

 

 

【著者・いとうとしこ】

クリエイティブディレクター。(株)アサツー ディ・ケイ(ADK)を経て、2014年(株)エソラ リア設立。「コアラのマーチ」CMを約二十年担当するなど、キャラクターを使った多くの広告キャンペーンを手がける。朝日広告賞各賞、ACC各賞、広告電通賞、広告批評年間広告ベストテン新聞第1位など受賞多数。絵本の著作に『ドドボンゴのさがしもの』(共著・うるまでるび、学研教育出版)、『るすばんできるかな?』(白泉社)がある。東京コピーライターズクラブ会員、日本アニメーション協会会員。

 

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