「1日10秒。最小の作業で、最大の節約効果が期待できる、それが1行家計簿です」
8歳からお小遣い帳をつけ始めて29年。これがきっかけでお金を扱う・管理することに興味を持ち、現在は税理士として会計・税務に携わる天野伴さん(37)が提案するのが「1行家計簿」だ。
「これは、自分が無駄な出費だと感じる項目一つを節約ターゲットに選んで記録し、家計を改善していく節約術です。家計簿の目的は記録ではなく、節約して浮いたお金を好きなことに使うためのものだと思います。ならば節約したい項目だけを記録すれば十分じゃないかと。そこから『1行家計簿』を考えたんです」
8月には『1行家計簿 世界一かんたんにお金が貯まる本』(ダイヤモンド社)も出版する天野さんに、1行家計簿について教えてもらった。
【1】節約ターゲットを決める
『洋服代・美容費』(洋服、コスメ、ドラッグストア代など)
『交際費』(飲み会など)
『食費』(お菓子、コーヒー、ペットボトル飲料など)
『趣味代』(映画、ゲームなど)
「無駄使いは、つい使ってしまいがちな項目に潜んでいます。女性がつい買ってしまう項目を挙げてみましょう。ただし次の2点には注意!とにかく好きなもの、出費をやめたらテンションが下がるものなど、その出費によって自分が元気になれる項目は、無理に削ることはありません。もう一つ、『食費』は安易に節約の対象にしないこと!生きて行くうえで必要なものは減らさずに」
【2】「1行家計簿」のつけ方
1.節約ターゲットの商品だけレシートをもらう
「『節約しよう』と意気込まずに、まずはいつもどおり買い物をして、節約項目のレシートだけをもらいます」
2.記録はすぐにつける!
「忘れないうちにすぐに記録します。もし1日に2回出費した場合は、100+200と個別に記入します」
3.家計簿の置き場所を決める
「1日でいちばん長く過ごす場所の目につきやすいところを選びましょう。リビングならリモコンの隣や、冷蔵庫に貼っても。移動が多い人は手帳に挟んで、持ち運んですぐに記録しましょう」
4.1カ月続けよう
【3】4つの分析で見極めよう
家計簿をつけて1カ月がたったら、ここで1カ月の無駄な出費を年ベースで試算する。
「1.最初に節約ターゲットの出費合計額を書き出します。2.出費回数または日を数えて合計を記入します。3.合計額÷回数で、1回の出費平均額を出して書き出します。4.月の合計額×12で1年間の金額が出てきますよ。たとえば、1カ月のカフェ出費額が7千320円、回数が20回だとすると、平均額は366円。これを12カ月に換算すると1年間では8万7千840円の出費になります。これをもとに、具体的な改善行動を探っていきます」
【4】3ステップで改善しよう
分析の結果をふまえ、自分の出費について考えてみよう。
1.やめる
「まずこの出費を、全部やめられるかどうかを考えてみます。『やめられたらラッキー』。一度、考えてみましょう」
2.換える
「やめるのが無理と判断したら、同じ満足度で金額を抑える方法を考えましょう。ビールなら発泡酒にするなどお酒の種類を替えてみます」
3.減らす
「どうしてもビールという人は、回数を減らして出費の総額を減らしてみましょう」
実際に節約効果のあった例を、天野さんが教えてくれた。通勤途中にあるエキナカやデパートで、月10回、洋服代に7万4千280円を使っていた30代の女性がいた。
「そこで翌月は、回数をデパート2回、エキナカ4回の6回に減らし、1回の金額もデパート5千円、エキナカ3千円に減らす目標を立てて実行してもらった結果、1カ月で5万2千円の節約になりました。1年間では60万円もの節約効果がありました」
これで、あなたもスムーズに節約生活がスタート!1行家計簿で、1年間60万円を貯めてみよう!