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「会社員やパートの方も、確定申告することで、還付金が手に入るかもしれません。申告漏れはもったいないですよ」

 

そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今月16日にスタートする確定申告。今回はその直前対策として、新たに導入される制度の注意点や、特に注目したい控除について、荻原さんが解説してくれた。

 

【1】マイナンバー導入元年

 

「マイナンバーの運用は昨年1月から始まりましたが、確定申告での導入は今回が初めてになります。昨年までとの違いは、申告書に12ケタの個人番号を記入すること。また申告書提出の際、マイナンバーカードやコピーの提示が必要になったことです。とはいえ、マイナンバーカードを作っていない方も多いと思います。その場合は、マイナンバーの通知カードと、運転免許証や健康保険証などの身元確認書類が必要です」

 

【2】クレジットカード納付

 

「今年1月から、所得税や法人税、消費税などの国税がクレジットカードで納付できるようになりました。カードによっては分割払いも可能です。ただし、インターネットの『国税クレジットカードお支払サイト』からの決算に限定されています。税務署や金融機関の窓口では、カード納付はできませんのでご注意ください」

 

【3】住宅ローン控除を受ける

 

「昨年は、日銀によるマイナス金利政策の影響もあり、住宅ローン金利は過去最低レベルでした。ローンの借り換えを行った方も多いと思います。住宅ローン控除は、ローン残高の1%、最大40万円が10年間控除される大きなもの(’14年4月以降の借り入れの方)。ほとんどの場合、借り換えても控除対象になります。ただし、借り換え後のローン期間が10年未満だと、控除は受けられません。ローン期間は、新しいローン単独で10年以上が条件です」

 

【4】リフォーム減税で戻るお金

 

「空き家問題が深刻化するなか、政府は中古住宅のリフォームを推進しています。そのため、リフォームの種類別に所得税の控除を設けています。このうち昨年4月に新設されたのが、3世代同居を目的とした住宅リフォーム減税です。ほかに耐震や省エネ、バリアフリーなどがあり、ローン利用の有無や期間によって控除額が決まっていて、併用できるものもあります」

 

【5】被災された方は控除申請を

 

「昨年は熊本や鳥取で大きな地震があったほか、北海道や岩手では台風による被害など、自然災害の多い1年でした。こうした災害による損害は、『雑損控除』か『災害減免法による控除』のどちらか有利なほうを選べます。損害額や年収、保険金額によって控除額は異なりますから、税理士にご相談ください」

 

【6】ふるさと納税と確定申告

 

「話題の『ふるさと納税』をした方も多いでしょう。従来、ふるさと納税で寄付金控除を受けるには確定申告が必要でしたが、’15年4月からは『ワンストップ特例制度』が始まりました。ふるさと納税以外で確定申告の必要がない会社員などは、寄付先の自治体が5つ以内であれば、確定申告が不要になったのです。ワンストップ特例と確定申告とでは、控除される税金がことなります。ワンストップ特例は、すべての控除額がこれから支払う’17年分の住民税に充てられます。これに対して確定申告では、控除の一部がすでに払った’16年分の所得税に充てられますから、還付金が戻ります。少額でも現金がうれしい方は、確定申告のほうがいいでしょう」

 

【7】退職・転職した方の注意点

 

会社員の方で、転職や退職などのため昨年の年末調整を受けていない場合は、確定申告が必要です。転職後に年末調整を受けていても、前職の源泉徴収票を提出していない場合、1年を通じた計算になっていないからです。そもそも毎月、源泉徴収される税金は、前年1年間の給与を基準に算出しています。働いていない期間があれば、その分収入が減るので、税金も安くなります。つまり、税金を払いすぎている可能性がありますから、ぜひ確定申告で取り戻してください」

 

【8】医療費控除も要チェック

 

「医療費控除を、『10万円は超えないから』とあきらめる方がいますが、実は医療費を“ためる”コツがあります。まず、医療費は家族分を合算できます。次に、たとえば人間ドックなど、病気予防のための検査費用は医療費に含まれませんが、もし病気が見つかって治療が始まると、人間ドックの費用も医療費と見なされます。また、子どもの歯科矯正も医療費として扱われます(成長を阻害する可能性があるため)。大人でも、医師が『機能的に問題がある』と診断すれば、医療費に含められます。さらに今年1月から『セルフメディケーション税制』が始まりました」

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