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「相続に関する民法規定の見直しが検討されています。古い民法の規定を、今の時代に合った内容に変えようとする動きです。来年の国会で議論される予定ですから、注目しておきましょう。いっぽう、相続税はすでに’15年1月から、引き上げられています。課税対象者は’14年の4.4%から、’15年には8%に増加しました(国税庁調査)」

 

そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。とはいえ、約9割の人が相続税とは無縁。「たいした財産がないから相続の心配なんて必要ない」と思う人が多いのでは。

 

「ですが実は、相続でもめるのは遺産が少ない家庭が多いのです。裁判所に持ち込まれ、調停成立した相続事案のうち、32%が遺産1,000万円以下です。遺産5,000万円以下まで含めると、全体の約8割を占めます(’15年度・裁判所調査)」

 

親戚が集まるお盆は、相続を話し合うには絶好のチャンスだという。そこで、“争族”に陥らないように、少しずつ話し合っておくべきポイントを、荻原さんが解説してくれた。

 

【1】資産をまとめる

 

「元気な親に、面と向かって相続の話を持ち出しづらい方は、親の資産をまとめて保管することから始めましょう。親は、複数の銀行預金通帳や保険証券、自宅の権利書などを持っています。また、貴金属や子どもに内緒の金融資産などもあるかもしれません。親が亡くなった後、それらを探し出すだけでもひと苦労。『盗難にあうと危険だから』と説得して、金融機関の貸金庫の利用を勧めましょう。資産の中身を聞かなくても、一括して保管していれば、もしものときに役立ちます」

 

【2】親の意向を聞いておく

 

「相続について世間話ができそうなら、それとなく意向を聞いておくことが大切です。たとえば、持ち家はついのすみかとして住み続けたいのか。あるいは、自宅を売って老人施設への入居を考えているのかなど。元気なうちに聞けば、意向に沿った形で、早めに対策をたてられます」

 

【3】先祖のお墓問題

 

「先祖のお墓についても、ぜひ相談してください。お墓が遠方の故郷にある場合などは、親の代で、お墓の引越し問題を解決してもらうととても助かります。子ども世代は、新しいお墓について情報を集めるなど、サポートしましょう」

 

【4】「財産は土地だけ。相続税を払う現金がない」場合

 

「広い土地を所有している、あるいは都心にある持ち家の土地が高騰している場合などは、相続税を納付するケースもあるでしょう。相続税は原則、死後10カ月以内に現金で納付します。現金がすぐに用意できない方も多いので、課税対象者は早めからの準備が必要です」

 

実の親子といえども、なかなか言い出しづらい相続問題。親が若くて元気なうちから、長期計画でゆっくり進めていこう。

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